2035年以降にエンジン車の新車販売を禁止する2035年ゼロエミッション車法案(以下、ZEV法案)が、2023年3月に土壇場でひっくり返された。ドイツやイタリアなどが反対に回ったからだ。結局、合成液体燃料「e-fuel」を使用するという条件付きでエンジン車の新車販売を認めるという方針転換を余儀なくされた。ZEV法案をどのように見るべきか。そして、本来の二酸化炭素削減戦略はどのようにあるべきかについて、Touson自動車戦略研究所代表で自動車・環境技術戦略アナリストの藤村俊夫氏が解説する。

藤村俊夫(ふじむら としお)
Touson自動車戦略研究所代表(自動車・環境技術戦略アナリスト)
愛知工業大学工学部客員教授(工学博士)。1980年に岡山大学大学院工学研究科修士課程を修了し、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。入社後31年間、本社技術部にてエンジンの設計開発に従事し、エンジンの機能部品設計(噴射システム、触媒システムなど)、制御技術開発およびエンジンの各種性能改良を行った。2004 年に基幹職1級(部長職)となり、将来エンジンの技術開発推進、将来の技術シナリオ策定を行う。2011年に愛知工業大学に転出し、工学部機械学科教授として熱力学、機械設計工学、自動車工学概論、エンジン燃焼特論の講義を担当。2018年4月より同大学工学部客員教授となり、同時にTouson自動車戦略研究所を立ち上げ、自動車関連企業の顧問をはじめ、コンサルティングなどを行う。