デジタル庁は、整備するパブリッククラウド基盤「ガバメントクラウド」上に窓口業務支援向けのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を構築、窓口改革を進める地方自治体が2023年秋にも利用できるようにする。なぜ、ガバメントクラウド上にSaaSを構築、提供するのか。
全国自治体に広がる窓口支援システムをSaaSで提供
ガバメントクラウド上に構築するSaaSとして自治体に提供するのは、自治体の窓口支援システムである。2023年夏にもデジタル庁はガバメントクラウド上で利用できる窓口支援SaaSのラインアップを公開する予定である。
そもそも、窓口支援システムとは何か。一般に、自治体窓口では利用者が申請書に申請内容を手書きし、それを窓口で受け付け、庁内の各業務システム経由で必要な書類を作成し、窓口で受け渡す。これに対し、窓口支援システムでは、利用者が申請書に手書きすることなく手続きする申請書作成支援やマイナンバーカードを使った転記、庁内業務システムとのデータ連携などにより、利用者と職員の負担を軽減する。業務改革(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、BPR)と合わせて進める窓口改革の取り組みに伴い、全国自治体でシステム利用が広まりつつある。
例えば、窓口改革を行い「書かない窓口」の先駆けとなった北見市では、北見コンピューター・ビジネス(北海道北見市)と開発したシステムを利用、埼玉県深谷市などに横展開するなどして活用が広がっている。また、会津若松市が開発に協力したBSNアイネットの「ゆびナビぷらす」の利用も広がっている。
現在、デジタル庁はガバメントクラウド上に窓口支援SaaSを構築する事業者の募集を行っている。すでにオンプレミス環境やプライベートクラウドなどで窓口支援システムを自治体に提供している事業者など、大手ベンダーからスタートアップまで、説明会参加や問い合わせがあるという。