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 アイシンは、エネルギー損失をほぼ半減した自動車向けの駆動用モーターを試作した()。2029年までの実用化を目指す。

図 アイシンが試作した駆動用モーターのコア
図 アイシンが試作した駆動用モーターのコア
素材にナノ結晶軟磁性合金「NANOMET」を使い、モーターのエネルギー損失をほぼ半減した。(写真:日経クロステック)
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 試作したのは、モーターコアの素材にナノ結晶軟磁性合金「NANOMET」を適用したモーターである。NANOMETは、東北大学金属材料研究所が開発し、2015年に同大学からスピンアウトして設立された東北マグネットインスティテュート(TMI、宮城県名取市)が独占的に販売する素材だ。

 電磁鋼板に近い飽和磁束密度を持ちながら、鉄損を低く抑えられるという特徴がある。飽和磁束密度が高いと、モーターを大出力化したり小型化したりしやすい。鉄損が小さいと、モーターの損失を減らせる。一方で、NANOMETは薄く、硬く、もろい素材であることから、加工の難易度が高いという課題がある。

 アイシンは、TMIに資本参加し、自動車向け駆動用モーターの共同開発を進めている。実際に同素材を使って駆動用モーターを試作することで、同モーターの評価を開始している。同素材をモーターコアに適用した自動車向け駆動用モーターは、世界初という。