市光工業は、2023年5月24~26日にパシフィコ横浜で開催の「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」に次世代のフロントフェース(車体の前面パネルとライティングを融合させたもの)およびリアフェース(車体の背面パネルとライティングを融合させたもの)に関するコンセプトモデル(試作品)を提示した(図1、2)。電動車や自動運転車を意識したもので、意匠性の差異化や運転者の視界改善に加えて、道路利用者とのコミュニケーションを促進することで安全性の向上に貢献できるように考えている点が特徴だ。
電動車の中でも電気自動車(EV)では、フロントグリルを介して空気を取り入れる必要性が低くなる。また、自動運転車であれば自動運転中なのか手動運転中なのかといった情報を周囲に伝えられれば、周囲から配慮してもらえる可能性もある。加えて、他の車両や歩行者、自転車など周囲の道路利用者に、道路利用者から死角となっている領域の状況を情報として伝えられれば、安全性向上に寄与できる。
同社が今回出品した次世代フロントフェースのコンセプトを示す試作品では、(1)従来のフロントグリルの位置と、(2)ヘッドライトとエンブレムの間、(3)エンブレムの上部――にそれぞれディスプレーを配置する。(2)には記号や文字を表示可能なマイクロLEDを使ったディスプレーを、(1)と(3)には通常のLEDを使ったディスプレーを適用する。
(2)のディスプレーには、自車の曲がる方向や、自車後方を横断するもしくは自車の横をすり抜けてくる歩行者や自転車の存在、自動運転中かどうかのステータス、EVの充電状態など、さまざまな情報を記号や文字で表示できる。複数のディスプレーを組み合わせて表示をコントロールすることで、より分かりやすく情報を伝えられるようにできる。