その1で伝えた川崎市のケースと同様に、屋根一体型のPVシステムに関連した火災だ。2014年8月19日の午前10時48分ごろ、相模原市内の木造2階建て住宅(築約1年)の屋根付近から出火。小屋裏32m2を半焼した〔写真12〕。

〔写真1〕築1年での災禍
〔写真1〕築1年での災禍
相模原市内の築1年の住宅で発生した火災。屋根一体型の太陽電池パネル周辺から出火し、小屋裏32m2を焼損した(写真:相模原市消防局)
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〔写真2〕小屋裏を半焼
〔写真2〕小屋裏を半焼
天井裏の焼損状況。垂木などが炭化し、屋根が燃え抜けている。居住者は通行人から知らされるまで火災発生に気づかなかった(写真:相模原市消防局)
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 火災発生の約1カ月前から漏電遮断器が落ちるトラブルが発生し、漏電箇所の調査を進めている最中での災禍だった。

 PVシステムは京セラ製。屋根に合計102枚の太陽電池パネルを組み込み、これらを14、15枚ずつ直列に接続した7つの系統に分けて発電する設備だった。ルーフィング上部にある樹脂製桟木に金具を設け、パネルの袖部をその金具の爪にはめ込んでいた〔写真3〕。

〔写真3〕パネルの取り付けは金具で
〔写真3〕パネルの取り付けは金具で
太陽電池パネルを取り去った状況。樹脂製桟木や防水シート、パネルを固定する取り付け金具などが見える(写真:相模原市消防局)
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 鎮火後の見分や京セラへの聞き取りなどを通じて、相模原市消防局は原因究明に役立つ3つの手掛かりを得た。

 1つ目は漏電調査の際に、屋内側ケーブルをステープルで固定している箇所が複数確認された点だ。見分では、L釘や取り付け金具の爪などが噛み込み、芯線が露出したケーブルが散見された。

 2つ目は金属製のパネルや取り付け用金具がアース線で接続されていて、全体として導通していたことだ。

 そしてもう1つが、バイパスダイオードが樹脂で覆われていて、出火原因となる「端子の緩み」は起こりにくい構造だったという点だ。