回路を遮断しても短絡

 3つの手掛かりを踏まえて、市消防局は火災発生のプロセスを次のように推定した。まずはL釘や固定金具の爪などでケーブルを噛み込み、複数の箇所で絶縁不良が起こる〔写真4〕。次に、絶縁不良が漏電や短絡をもたらす。こうして生じた短絡は樹脂製桟木への放電をもたらし、出火に至る〔図1〕。

〔写真4〕絶縁不良を招いた施工状況
〔写真4〕絶縁不良を招いた施工状況
パネル用ケーブルには、ステープルで固定した際に圧迫されたり、パネル固定用金具に挟み込まれて損傷したりしている状況が多数見られた。これらが絶縁不良を招いたと推測されている(左の写真:消防研究センター、中央と右の写真:相模原市消防局)
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〔図1〕金属部品が通電を促進
〔図1〕金属部品が通電を促進
取り付け用金具(ステンレス製)とパネル(アルミニウム製)間は全て導通するので(緑の双方向矢印)、システム内で、2カ所以上(異極)絶縁破壊すれば、短絡回路が形成される(資料:相模原市消防局)
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 相模原市津久井消防署警備課本署3部指揮・調査担当の今村智氏は、回路を遮断した状態でもリスクが残ると指摘している。「火災発生以前から漏電が認められ、メーカー関係者が接続ユニットで電路を遮断していた。にもかかわらず火災につながる短絡が発生したとみられる」(今村氏)

 京セラは、この火災を契機として、パネルの取り付け金具を改良。ケーブルを噛み込みにくい仕様に改めたという。さらに同社では、接続ユニットで回路を遮断しても短絡が起こる現象を防ぐために、「漏電の点検中は回路を遮断したうえで、パネル表面を遮光する」ような対策を勧めている。

雪止め金具が原因で短絡

 住宅の屋根に架台を設ける屋根置き型のPVシステムでも火災事故は生じている〔写真5〕。

〔写真5〕屋根置き型でもリスクは存在
〔写真5〕屋根置き型でもリスクは存在
屋根置き型の太陽電池パネルから出火した例。パネルを取り付けた際、既存の金属製の雪止め金具を残したまま施工したため、パネルの裏面と金具が接触して短絡。火災に至ったと考えられる(写真:消防研究センター)
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 例えば新潟県内では、システムの設置工事の際、もともと屋根に設置してあった雪止め金具を撤去せず、その上にPVシステムを設置したために火災が発生したようだ。雪止め金具がパネルの裏側を傷つけ、太陽電池セルの裏側に接触。導電・短絡し、発火に至ったとみられる。

 「施工者は金具と太陽電池パネル裏面に、ある程度の距離があったので、干渉しないと踏んだのかもしれない。だが、雪が積もるなどして圧力が加わった際にパネルがしなり、接触した可能性がある」。総務省消防庁消防研究センター技術研究部大規模火災研究室の田村裕之室長は、事故の背景をこのように読み解く。

 このほか、屋根置き型では架台の形状によっては屋根とパネルとの間に隙間が生じ、そこが火災リスクにつながりかねない。鳥が営巣したり風によって枯れ葉などがたまったりすれば、可燃物が堆積する。パネル下に置いたケーブルを小動物がかじれば、絶縁低下を招くからだ。