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パネルの支持物に加わる風圧荷重を規定したJIS(日本工業規格)が、2017年3月に改定。荷重をかなり大きくしたので、今後は新たなJISに適合した製品選定が必要となる。

 太陽電池パネルを固定する支持物の強度は電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)で定められている。電技解釈が求める支持物に加わる風圧荷重と積雪荷重を示すのがJISC8955だ。

 17年3月のJISC8955の改定箇所は多岐にわたる。なかでも重要な項目の1つが、風圧荷重の計算に用いる風力係数の見直しだ〔図1〕。その影響で、新たなJISの風圧荷重は従来の約2倍になる。

〔図1〕新JISでは風力係数を厳しく
〔図1〕新JISでは風力係数を厳しく
勾配屋根の風圧荷重計算に用いるJISC8955の、風力係数の新旧の値を示す。改正したJISでは正圧側も負圧側も厳しい数値に見直された(資料:奥地建産)
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 飛散を防ぐための風荷重の計算方法には、外装材用と比較的大きい構造部材を対象にした構造骨組用との2種類がある。前者の方が求められる強度は高くなる。

 JISの改定作業に携わった東北大学大学院工学研究科の植松康教授は次のように話す。「パネル1枚当たりでみれば、受圧面積が小さいので外装材用で検討する方が適切だが、旧JISでは構造骨組用で評価していた。改定に当たっては必要最小限の変更で済むように、構造骨組用を基にしながら外装材用に近い値となるように調整した」

パネル自体の許容耐力を実験

 JISで規定するのは支持物に加わる外力だ。パネル自体の必要強度に関する規定はない。パネルが強風で壊れて飛散しないようにするには、パネルの許容耐力が風圧荷重を上回る必要がある。だが、許容耐力を表示した製品は見当たらない。

 メーカーが表示しているのは、2400パスカルや5400パスカルといった垂直荷重を1時間受けても発電性能を損なわないという機械的な強度に限られている。

 そこで、植松教授と奥地建産(大阪府松原市)の高森浩治ジェネラルマネージャーらは国内外8メーカーの標準品を対象に、風圧に対する破壊試験を実施した。

 機械的強度が2400パスカルの6製品における最大耐力(試験体3体の平均)は5300~1万3600パスカル。同4000パスカル以上の2製品における最大耐力は7400~9000パスカルだった〔写真1図2〕。最大耐力を、便宜的に許容耐力とみなした機械的強度で除して求めた安全率は、2400パスカルの製品で2.2以上となる。一方、4000パスカル以上の製品では1.6と1.8にとどまった。

〔写真1〕枠から外れる
〔写真1〕枠から外れる
破壊実験後のパネルの状態。パネルが枠から抜ける壊れ方を確認できた(写真:奥地建産)
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〔図2〕標準品の最大耐力は機械的強度を上回る
〔図2〕標準品の最大耐力は機械的強度を上回る
パネルの破壊実験で調べた最大耐力。2400パスカルの製品は6種類とも機械的強度の2倍以上に達した。4000パスカル以上の製品は機械的強度に対する最大耐力の大きさが1.6倍と1.8倍にとどまった(資料:奥地建産)
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 植松教授は「組み立てる部分が比較的多いパネルの許容耐力としては、2倍程度の安全率を見込む方がよい。実験した4000パスカル以上の製品は許容耐力がもっと低いと考えるべきだ」と指摘する。

 新JISで規定する風圧荷重の扱いについて、さらなる注意を促す専門家もいる。パネルの飛散事故問題に長年取り組む吉富電気(名古屋市)の吉富政宣代表だ。「改定JISが示す風圧荷重はモジュール(1枚のパネル)を支える梁や柱に掛かるものだ。面積の小さいモジュール自体には局所的に大きな荷重が作用すると考えられるので、新JISで求められる風圧荷重の数値では不十分になるケースがある」(吉富代表)