木造新潮流 高層ビル編

ビルの構造材は鉄筋コンクリートか鉄骨。現在の建築界ではそれが当たり前になっている。ところが、ビルの主要構造材に木を使おうという機運がにわかに高まってきた。地球温暖化の問題解決に寄与する二酸化炭素の固定に役立つうえに、木材の材料技術が進展し、ビルの構造材として使えるような製品が出てきたからだ。
その動きは日本よりも海外で進んでいる。米国や欧州では木材を主要構造材に用いた高層ビルが続々と建ち始めた。なかには木造を多用して超高層ビルを建設しようというプロジェクトも存在する。
日本では、地震に備えた構造安全性や火災対策、材料コストの問題など木造の高層ビルにおいて解決すべき課題が少なくない。それでも、木造の中大規模建築物の台頭をはじめ、都市における木造の在り方は着実に変わり始めている。木を主要構造材に据えた高層ビルの建設構想や技術開発も現れてきた。国内外における木造高層ビルの動向を探ってみた。