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20年以上にわたってCLT(直交集成板)の開発を先導してきたオーストリア・グラーツ工科大学のゲルハルト・シックホーファー教授に、CLTの開発経緯と今後の展望を語ってもらった。

CLTの建材開発は、どのようにしてスタートしたのですか。

 柱や梁といった線材に頼るのではなく、シェル構造と面材を組み合わせた構造で大規模な木造建築を実現したい――。CLTに関するアイデアをまとめた1994年の博士論文は、そんな思いから生まれたものです。

 CLTという建材の発想自体は、それほど難しいものではありません。もともと木材には、合板のように組み合わせた面材がありましたから。ベニヤ板の代わりにひき板を使ったのです。板を重ねる際に90度ずつ角度を変えれば、収縮や膨張の影響を抑えられるというアイデアでした。

オーストリア・グラーツ工科大学のゲルハルト・シックホーファー教授。これまで、CLTの研究開発を先導してきた(写真:都築 雅人)
オーストリア・グラーツ工科大学のゲルハルト・シックホーファー教授。これまで、CLTの研究開発を先導してきた(写真:都築 雅人)
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 理論は整っていても、それを具現化できるか否かは別の問題でした。そこで私は次の段階として、実際の製品として実現できるものなのか否かを検証することにしたのです。この研究開発に一緒に取り組んだのが、2人の製材技術者でした。

研究開発はスムーズに進んだのですか。

 95年から96年にかけて、我々はチームとして実際にCLTを製造できるか否かの検証を進めました。チームを結成したものの、研究開発は決して簡単に進んだわけではありません。初めの頃は、研究開発を行う場所にも苦労していました。最初にプロトタイプとなる1m×2mの大きさのCLTパネルを製造したのは駐車場でした。