日本木造耐火建築協会は5月7日、「木質耐火部材を用いた木造耐火建築物設計マニュアル(2018年版)」を発刊した。木造中高層建築物の設計に焦点を当てて編集。木造耐火建築物の適切な設計・施工を担保するための知見を整備した。マニュアルの発刊に併せて、同協会の会員向けに講習会を開催した。
日本木造耐火建築協会の安達広幸理事(シェルター常務取締役)は「今まで日本では中高層木造ビルは建設されていなかった。しかし、近年の技術開発によりヨーロッパや北米で建築されている木造18階建て、あるいは24階建ての建築物も日本国内で実現可能となった。小規模な耐火構造を想定したマニュアルは今までも存在したが、当マニュアルでは都市の木造化、なかでも高層化に焦点を当てて編集した。すべて実験で安全性を確かめた技術を監修した」と話す。
近年、建築物の大規模化に対応できる耐火構造の技術開発が加速している。木造1時間耐火構造では、最上階から4階までという階数制限があった。しかし、木造2時間耐火構造の開発により14階までの木造化が可能となった。さらに、2017年12月にはシェルター(山形市)が木造3時間耐火構造の大臣認定を取得し、階数制限を受けない中高層木造建築を実現可能とする構造部材が登場した。
マニュアル編集委員会は、木造軸組み工法による耐火構造の多様化、技術開発の進展を想定し、木造高層化に必要な技術をマニュアルに盛り込んだ。マニュアルは、純木造や木質耐火部材を用いた混構造による建築物設計について全6章の135ページと付録で構成。設計・施工の現場での手引きとなるよう、設計例も掲載した。建築研究所の監修により発刊した。