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取り組みに日本と海外と温度差

 推進会議は、前述の強化策で次のような落下物対策の流れの形成を狙っている。

 部品脱落を確認したら、航空会社はメーカーと航空局に情報を報告する。航空局はメーカーに対して対策検討を要請し、メーカーは対策のためにSBなどの技術資料を追加・改訂する。航空会社がそれを採用して落下物が減れば、航空会社は、最終的に検査や対策コストを削減できる。従って、積極的に落下物情報を報告するようになる─。こうしたサイクルが回って落下物が減るのが理想の姿だ(図4)。

図4 部品脱落低減に向けた取り組み体制
図4 部品脱落低減に向けた取り組み体制
メーカー、航空会社、航空局が連携して情報交換・監督することで部品脱落を減らす。国土交通省の資料を基に日経ものづくりが作成。
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 実は、国内航空会社では、落下物防止対策の基準で求めている、落下物情報の収集・分析や、技術資料の採用・実施、自主的な重点整備・改修などを既に展開してきている。

 2005年8月に発生したエンジン部品落下事故を契機に、落下物防止に対する業界の意識が高まり取り組みが進んだからだ*5。「事故前に比べて落下物の件数は1/5程度に減っている」(JALエンジニアリング リスクマネジメントグループ グループ長の後藤隆朗氏)という。

*5 福岡空港を離陸した旧JALウェイズのマクダネル・ダグラス DC-10型機のエンジンブレードが破損。破損したブレード片によって他のブレードも破損し、福岡市外の住宅地に破損した金属片が複数落下したという事故。同フライトは国内のDC-10の最後のフライトだった。

 制度としても、国内航空会社には航空法により脱落情報の報告義務があり、国内ではメーカーと航空会社航空局の関係者が集まる落下物の対策会議も定期的に開催されている。 しかし、世界的に見ても落下物対策に熱心なのは日本だけ。メーカーが提供する落下物防止対策のSBを採用するかどうかは、航空会社の自主判断なので、採用率は国内航空会社では95〜100%なのに対し、海外航空会社は35〜40%と低いという*6。脱落情報の報告義務も海外航空会社には課せられていない*7

*6 国土交通省・航空局のヒアリング調査による。
*7 成田空港については、国土交通大臣が航空機乗務員に対して発行する航空路誌(AIP)にて、同空港を離陸した航空機の部品脱落情報の報告を求めている。