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 こうした状況から運輸安全委員会は、HPTディスクの破断を契機に生じた燃料滑油熱交換器ケースの亀裂から燃料やエンジンオイルが漏れ、これらがエンジンの高温部に接触し、引火したと結論付けている。問題は、なぜHPTディスクが破断したか、だ。

 HPTディスクのリムの内周側には、U字形状の溝(U字形溝)が設けられている(図4*3。問題のHTPディスクは、ちょうどこの溝の底部に沿ってリムの一部が破断していた。調べたところ、U字形溝の底部には全周に渡って高さ0.254mmの段差が認められた(図5)。

図4 HPTディスクの構造
図4 HPTディスクの構造
外周部にはタービンブレードを固定するリムが等間隔で並んでいる。その内周側にU字形溝が設けられている。事故機のHPTディスクはこのU字形溝から破断していた。(図は報告書を基に日経ものづくりが作成、写真出所:国土交通省)
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*3 U字形溝には、冷却用の空気の漏れを防止するエアシール部品を取り付ける。

図5 U字形溝の形状を転写した樹脂の断面写真
図5 U字形溝の形状を転写した樹脂の断面写真
底部に0.254mm(0.01インチ)の段差があった。この段差を起点して疲労破壊による亀裂が生じ、それが進展して破断に至ったと考えられる。 (出所:国土交通省)
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