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 最近、少し不思議な事に気付いた。とても優秀なプロジェクトマネジャー(プロマネ)2人から続けて話を聞く機会があった時のことだ。片方がユーザー企業側のプロマネ、もう片方がITベンダー側のプロマネで、どちらも「私、失敗しないので」と言えるほどの力量の持ち主である。だからプロマネの極意の話になると両者ともよく似ている。だが1つだけ、2人の認識が決定的に異なった。何かと言うと見積もりのタイミングだ。

 まずITベンダー側のプロマネは「要件定義の後に概算見積もり、基本設計の後に詳細(正式)見積もり」と言う。この認識については、多くのプロマネや技術者がアグリーするだろう。「えっ、最近の客は要件定義をまともにできないから、そんなので見積もったら、いくら概算とはいえロクな見積もりはできないよ」などと、まるでこの「極言暴論」のようなツッコミを入れてくる読者もいるかと思うが、原則としてこの認識は正しいだろう。

 だが、ユーザー企業側のプロマネが言う事は違った。この人によると「要件定義の前に概算見積もり、要件定義の後に正式見積もり」なのだそうだ。つまりITベンダー側のプロマネが言う見積時期に比べて、フェーズが1つずつ早いのだ。もちろんユーザー企業側なのでシステム開発の料金ではなく投資額やコストの積算だが、それでも見積もりのフェーズがずれるのは少し妙な話だ。

 こう書くと「何をボケた事を言ってんの! ユーザー企業の場合、予算取りの都合で概算見積もりの時期を早めるのは当たり前」と読者にあきれられそうだが、その道理は百も承知だ。本質はそこではない。この優秀なユーザー企業側のプロマネによると、要件定義の前段階で、ITベンダー側のプロマネが言うところの概算見積もりと同じ精度の見積もりが可能であるというのだ。ちなみに予算取りのための見積もりは「試算」であって、この概算見積もりとは別のものだ。

 そんなわけで「このズレの本質はいったい何なのか」としばらく考えていたのだが、その疑問はある時、氷解した。「デジタルの時代でもウオーターフォール型開発の重要性は変わらない」と当たり前の事を言うユーザー企業のIT部門の人がいたが、どうもこの人は「ウオーターフォール型開発は要件定義から始まる」と捉えているようなのだ。おそらくプロマネとしてはド素人なのだろうけど、この人のおかげで見積もり時期のズレのナゾが解けた。