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 ホール天井の大規模崩落は吊りボルトを上端で支えるフック状金具の強度不足が原因─。川崎市は2012年3月12日、東日本大震災で吊り天井が崩落した「ミューザ川崎シンフォニーホール」〔写真1〕の被害調査報告書の概要を公表した。

〔写真1〕重量天井が崩落
〔写真1〕重量天井が崩落
ミューザ川崎シンフォニーホールの被害状況。落下した天井板は1m2当たり100kgの重さがあった。赤丸で囲った天井を納める部分では、防火区画壁の一部が切断されていたことが判明した(写真:川崎市)
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 最終報告書では「天井を構成する部材や接合部について、必要十分な構造的検討が行われたとは言えない」と指摘。市は設計者や施工者らに損害賠償を求める方針だ。報告書の内容を精査した上で法的措置を取ることも検討している。

 ミューザ川崎シンフォニーホールは、鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造で、地下2階、地上8階建て。2004年に開館した。設計者は都市基盤整備公団(現在の都市再生機構)と松田平田設計、施工者は清水建設・大成建設・安藤建設JVが担当した。

 報告書は、市が委託した日本建築防災協会の被害調査委員会(委員長:坂本功・東京大学名誉教授)が作成。11年8月末の中間報告の公表後、被害状況の実地調査、部材や材料の実験などを進め、崩落のメカニズムを推定した〔図1〕。

〔図1〕凹凸のある天井で複雑な揺れに
〔図1〕凹凸のある天井で複雑な揺れに
報告書で示された吊り天井の落下範囲を示す図。ピンク部分が落下、黄色の部分が宙吊りになったことを示す。矢印は、推定される揺れの方向を示す(資料:川崎市)
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 調査委員会は、重く凹凸がある複雑な形状をしていた天井板の特徴が地震被害と密接に関係していると指摘。崩壊の起点は特定できなかったが、「フック状金具のいずれかに最大耐力を超える力がかかり、この部分が壊れて天井が垂下し、隣接する下地組みでも支持できなくなり、連鎖的に落下していったであろうことが、計算や実験の結果から説明できる」と結論付けた〔図2〕。

〔図2〕調査委員会が推定する崩落メカニズム
〔図2〕調査委員会が推定する崩落メカニズム
報告書で示された連鎖的な天井落下のプロセス(資料:川崎市)
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