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まず業務改善、その後RPA検討

 JPXの取り組みにおける最大の特徴は、RPAの導入よりも業務改善を優先させたところにある。約10人体制のRPA事務局を中心に推進した。RPA事務局は各部署に業務プロセスの改善に向けたガイドラインを示し、まずはRPA以外の手段による改善を促した。具体的には業務自体をなくす「廃止」、業務内容を必要最低限の作業に見直す「簡素化」、マニュアルやテンプレートを整備して作業を均一にする「標準化」の3段階で検討を促した。

図 RPAを導入を決めるまでの流れ
図 RPAを導入を決めるまでの流れ
RPA導入の前に業務改善
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 それでも改善し切れない業務を「自動化」の対象とした。ただし、この段階でもRPAが最適解とは限らない。自動化の手段としては「システム化」「外部サービス利用」「Excelマクロ」も選択肢になる。

 頻度が高い業務はシステム化の対象とした。JPXは現在、arrowhead以外のシステムの刷新を進めており、この要件に織り込む方針だ。

ソフトロボの作成に向けた打ち合わせの様子(写真提供:日本取引所グループ)
ソフトロボの作成に向けた打ち合わせの様子(写真提供:日本取引所グループ)
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 代表例は「所報」に伴う業務だ。所報とは、上場企業・銘柄の新株発行や株式分割、合併、取引状況などの情報をJPXが取りまとめて作成した文書である。投資家ら外部向けに専用Webサイトで情報提供している。

 所報はJPX社内の多くの部署でも使われている。所報の情報を別のシステムに入力したり、複数の所報から必要な情報を取り出して集計したりする業務がある。

RPA事務局を務める東京証券取引所IT開発部の岡田暁光課長(左)と嵯峨錠二課長
RPA事務局を務める東京証券取引所IT開発部の岡田暁光課長(左)と嵯峨錠二課長
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 複数の部署からこの業務にRPAを適用したいとの希望が出たため、RPA事務局で検討した。廃止はできず、簡素化や標準化ではなく自動化がなじむ業務ではあった。だが、RPAではなく新システムで対応すべきだと判断した。所報を参照する業務は頻度が高く、しかも多くの部署が関わるからだ。今後開発するシステムに、所報の情報を自動変換して各部署が使いやすいようにする仕組みを実装する方針だ。

 前述のETF関連事務は取引所固有の業務であり、外部サービスの利用は難しい。単なる集計ではなくファイル操作を伴うため、Excelマクロにもなじみにくい。そのためRPAの導入に至った。