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 業務やプロジェクトを進めていくうえで、何らかの問題発生は避けられない。問題を解決しようとすると、リーダーとメンバーの間で、意見の対立や利害関係の対立といった「コンフリクト」が発生する。この際、メンバーを説得して動かそうとする「説得型」の切れ者リーダーは、部下を潰しがちだ。

(イラスト:小林ちか子)
(イラスト:小林ちか子)

 コンフリクトが発生する典型的なシーンが、プロジェクト中の仕様変更だ。メンバーは負荷増を避けるため、仕様変更をせずに済ませたいと考える。チーム内ではリーダーがユーザーの代弁者となりがちで、リーダーとメンバーの間でコンフリクトが発生する。こうした場合、説得型リーダーは「仕様変更の負荷を受け入れてもらうため、メンバーを説得する」といった行動を取る。

 この行動はメンバーからリーダーへの信頼を低下させ、メンバーのやる気を喪失させる。コンフリクト解消のやり方が間違っているのだ。コンフリクトの解消には「支配」「説得」「妥協」「統合」と4種類のスタイルがある。統合以外の方法は、部下を潰す可能性がある。

コンフリクト解消の4種類のスタイル
コンフリクト解消の4種類のスタイル
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 支配とは地位や権力を利用して、自分の意見や要望を強引に押し通すスタイル。発注者と受注者、上司と部下といった格差のある力関係で用いられやすい。短時間でコンフリクトを解消できる半面、副作用が大きい。信頼関係の悪化、やる気や主体性の低下、ストレスの上昇といった悪影響をメンバーに与える。

 説得は論理を駆使したり、情に訴えたりして、自分の意見や要望を相手に飲ませるスタイルだ。支配より穏やかだが、本質に大きな違いはない。支配ほど顕著でないが、同様の副作用が生じる。

 妥協では駆け引きにより、落としどころを探る。支配や説得より納得感が高いが、リーダーの満足とメンバーの満足はトレードオフの関係になる。どうしてもどちらか、または双方に不満が残る。

 統合は両者が満足する新しい解決策を見つけて、コンフリクトの解消を目指すスタイルだ。「互いの要望を100%満たす方策が必ず存在する」という信念に基づいて、リーダーとメンバーが協調して解決策を考える。結果的には100%満足とならなくとも、妥協よりも納得感が高い結論を得られる。