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本記事は、日経エレクトロニクス1994年6月20日号に掲載した事例を再録したものです。
1977年に発売した専用LSI搭載型のゲーム機「カラーテレビゲーム」、前回紹介した「カーレース 112」や「ブロック崩し」を製品化した後、任天堂は1980年に携帯型ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」を市場に投入した。この製品は4800万台以上販売され、大ヒット商品となった。これらの製品を手掛けた経験が、後にファミコンを生む原動力になる。今回は、このゲーム&ウォッチを発想してから、製品コンセプトを固めるまでを紹介する。
(記事の原題は、「携帯型ゲーム機を発想~ファミコンはこうして生まれた【第4回】」)
ファミコンの設計に大きな影響を与えた
1977年に登場した専用LSI搭載型ゲーム機に続き、任天堂の大ヒット商品になったのが「ゲーム&ウォッチ」である(図1)。1台のゲーム機で2種類のゲーム・ソフトを内蔵してある。時刻の表示機能もある。
図1 ゲーム&ウォッチを1980年に発売
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1980年の発売以来、8年間で約70機種をシリーズ展開し世界の市場に投入した。販売台数は4800万台を超える。ゲーム&ウォッチのシリーズ途中から採用され始めた十字ボタンがそのまま「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」に採用されるなど、ファミコンの設計にも大きな影響を与えた。現在市販の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」は、ゲーム&ウォッチの後継機として開発したものである。