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本記事は、日経エレクトロニクス(2013年2月18日号~2013年7月8日号)に掲載したものです。

長所を組み合わせたDPO

 このように、ARTとDSOには長所と短所がある。そして、両者の長所を組み合わせるようにして開発されたのが、デジタル・フォスファ・オシロスコープ(DPO:digital phosphor oscilloscope)である(図6)。入力信号をいったんA-D変換器でデジタル・データにするところまではDSOと同じだが、その後の処理でARTの蛍光体(phosphor)をデジタル的に表現するオシロスコープである。

図6 デジタル・フォスファ・オシロスコープ(DPO)
図6 デジタル・フォスファ・オシロスコープ(DPO)
ARTの蛍光体(phosphor)をデジタル的に表現するオシロスコープである(a)。DSOの瞬間を捉える利点に加えてART同様に入力信号そのままの表示が得られる(b)。
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 DPOがDSOと決定的に異なる点は、DSOが振幅と時間という2次元の情報しか持たないのに対して、DPOは振幅と時間に加えて、振幅の時間分布(頻度)という3次元の情報を持っていることである。DPOでは波形の頻度情報(発生からの経過時間を含む)を輝度もしくは色によって表現する。ARTはCRT蛍光体の特性によって頻度情報を表現していたが、これをデジタル処理に置き換えたわけだ。

 さらに、マイクロプロセサで並列処理するように回路を構成した。これにより、同時にさまざまな情報を重ね書きできるようになった。DSOの大きな特徴である単発信号の観察と、ARTのリアルタイム性および波形の頻度情報の取得を、1台のオシロスコープで実現した。そして、現在のオシロスコープの主流となっている。