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本記事は、日経エレクトロニクス(2013年2月18日号~2013年7月8日号)に掲載したものです。

二つのサンプリング方法

 この他、技術者が被測定信号の波形をオシロスコープに正確に表示するために、デジタル部で理解しておくべきポイントが幾つかある。まずサンプリングには、「実時間サンプリング」と、「等価時間サンプリング」の二つの方法がある(図2)。オシロスコープを使いこなすために、これらの違いをきちんと理解してほしい。

図2 サンプリング方法
図2 サンプリング方法
実時間サンプリングは、単発信号や繰返し信号などすべての信号で使用できる(a)。等価時間サンプリングは、繰り返し信号でのみ使用できる(b)。
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 実時間サンプリングのオシロスコープは、1回の取り込みで波形を構成するすべてのサンプル・ポイントが得られるので、入力する被測定信号が単発信号であっても、繰り返し信号であっても使用可能である。このため、被測定信号がどちらかわからない時は実時間サンプリングのものを選べば失敗はない。もう一つの等価時間サンプリングのオシロスコープは、被測定信号が繰り返し信号であれば使用可能である。等価時間サンプリングは、被測定信号の最高周波数成分に対してA-D変換器のサンプル・レートが2倍に満たない場合でも何回かに分けて取り込むことで正確にデジタル・データに変換する技法だ。

 等価時間サンプリングでは、1回の測定ですべての波形を取得できないため数回に分けてデータを取り込む。例えば、図2(b)のような4回の場合を考える。最初にデータを取り込み、波形の1/4に当たるデータをメモリに三つずつ間をあけて飛び飛びに書き込む。次にクロックを1/4周期ずらして取り込み、先ほどの隙間を埋める形で同様にメモリに書き込む。このようにして、クロックを1/4周期ずらしてメモリの残りの隙間を埋めながら3回目の取り込みを続け、最後の4回目の取り込みでメモリすべてを埋めて波形を表示する。

 周期をずらしながら取り込んでいる間に、被測定信号のレベルや周期などが変化してしまうと正確な波形表示は得られない。等価時間サンプリングのオシロスコープが繰り返し信号にしか使えないのはこのためだ。非常に周波数帯域の高いオシロスコープでは、等価時間サンプリングを用いる製品もあるため、測定対象の信号に照らし合わせて選んでほしい。