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制御で加速感や快適性を向上

 1990年代から小型車に導入されてきたCVTは、効率よく加速するためにエンジン回転数を最大トルク付近に固定する仕様が多く見られた。減速比を徐々に低くする制御を採用することで、燃費を改善しようとしたからだ。しかしこれが加速感を緩慢にして、間延びした走行フィールを引き起こしてしまった。

 変速の制御を見直し、巻きかけ半径を固定する領域を増やしているのが最近の傾向である。これにより変速時にプーリー上をベルトが滑るために効率が低下することも抑えている。現在では、変速の制御をより自然なものに近付け、通常のATに非常に近い走行感を得るまでになっている。

 あえて減速比を固定した設定とし多段化を疑似的に設定したスポーティーなCVT搭載車もかつては登場したが、現在はステップ式ATやDCTに置き換わった。

 CVTの進化の方向性として注目を集めつつあるのが、副変速機を採用するものだ(図4)。プーリーの可動域を制限しつつ、変速比の拡大を図ると共にプーリー形状やベルト形状の最適化により、さらに駆動損失を抑えている。小型車やミニバンなどに搭載され、燃費性能を改善することに貢献している。

図4 副変速機を備えたCVTの例
図4 副変速機を備えたCVTの例
ジヤトコのCVT。プーリーとベルトで減速した後に、遊星歯車機構で変速する。プーリー径を小型にしながら、より幅広い変速比を実現した。
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 現行のCVTはトルクコンバーターと組み合わされることでスムーズな発進を実現しているが、これも加速感の間延びしたフィールを助長する要因となっている。過去には磁性粉体による電磁クラッチを採用した車種もあったが、伝達トルクの容量に限界があるのと発進時のスムーズさを実現するのが難しく、トルクコンバーターと組み合わせる方式が主流となった。

 トルクコンバーターも発進時以外は、ロックアップクラッチを締結させることで、駆動損失を抑えて「ラバーバンド感」と言われる加速の間延びを軽減している。今後は、DCTのクラッチ制御技術を応用したシングルクラッチを組み合わせたCVTの登場も、可能性としては有り得るのではないか。