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 携帯大手が5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスを開始した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に加え、当初はエリア展開や対応端末が限られていることから、人々の関心はそれほど高まっていない。しかし、5Gは今後10年にわたり、モバイル通信の主役となる存在であることに違いはなく、その重要性は変わらない。5Gはこれまでのモバイル通信技術と何が違うのか、徹底解説する。

 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社は、2020年3月に5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスを開始した。現在主流の携帯電話サービスは4G(第4世代移動通信システム)だが、5Gはその次世代という位置付けになる。

 海外では2019年に5Gの商用サービスを始めた携帯電話事業者があるが、国内では2020年が「5G元年」といえる。

 携帯大手が2020年のサービスインを目指して注力してきた理由の1つは、同年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを最大のショーケースとして見込んでいたからだ。だが、新型コロナウイルスの影響で2021年に延期された。

5Gは「DXの時代」

 携帯電話サービスを支える移動通信システムは、約10年ごとに新しい世代が登場してきた。5Gはその5世代目ということになる。

移動通信システムの進化
移動通信システムの進化
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 最初の1G(第1世代移動通信システム)のサービスが始まったのは約40年前の1979年。用途は通話のみで、音声をアナログ変調で送る単純なものだった。

 1993年には2Gのサービスが開始された。デジタル技術を取り入れ、音声の符号化・圧縮によりユーザーの急増に対応した。さらに短い文章をやりとりするショートメッセージサービス(SMS)や、「iモード」「EZweb」「J-SKY」といった携帯電話事業者独自のパケット通信サービスも始まった。

 その次の世代は2001年に開始された3Gサービスである。携帯電話で写真や低解像度の動画を扱えるようになった。さらに携帯電話事業者のパケット通信サービスを経由せずに、直接インターネットに接続できるようになった。

 そして現在主流の4Gは2010年に始まった。スマートフォンが登場し、高解像度の動画やモバイルアプリを利用する本格的なマルチメディア時代を迎えた。

 では5Gを象徴する言葉は何だろうか。5G向けネットワーク機器を手掛けるスウェーデンのエリクソンなどは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を挙げる。

 DXは、一般にITによる企業の変革とされているが、もともとITで社会や人々の生活を良いものにするという広い意味がある。4Gまでの移動通信技術は、基本的にユーザー同士のコミュニケーションに使われてきた。

 これに対し、5Gは産業や社会インフラの幅広い分野で使われることを念頭に仕様が決められている。例えば、産業用IoTによる工場のデジタル化や自動車の自動運転といった用途だ。この点で、5Gは「DXの時代」といえそうだ。