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 携帯大手が5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスを開始した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に加え、当初はエリア展開や対応端末が限られていることから、人々の関心はそれほど高まっていない。しかし、5Gは今後10年にわたり、モバイル通信の主役となる存在であることに違いはなく、その重要性は変わらない。5Gはこれまでのモバイル通信技術と何が違うのか、徹底解説する。

 5Gの無線アクセスにおいて、利用する周波数は重要なテーマの1つだ。今回は、5Gの周波数に焦点を当てる。

国内事業者の周波数割り当て

 日本国内では、5G向けの周波数として、Sub6帯の3.7GHz帯と4.5GHz帯、ミリ波帯の28GHz帯が使われる。総務省は2019年4月に、これらの周波数は携帯電話大手3社と新規参入の楽天モバイルに割り当てた。

国内での5G向け周波数の割り当て
国内での5G向け周波数の割り当て
総務省やエリクソンの資料に基づき本誌が作成。
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 Sub6帯は、1枠100MHz幅ごとに割り当てられる。NTTドコモは3.7GHz帯と4.5GHz帯が1枠ずつ、KDDIは3.7GHz帯の2枠が割り当てられている。ソフトバンクと楽天モバイルは、それぞれ3.7GHz帯が1枠ずつとなっている。ミリ波帯は、1枠400MHz幅での割り当てとなる。4社に1枠ずつ割り当てられた。

自営で構築するローカル5G

 これらの周波数は、携帯電話事業者が全国的に提供する5Gの携帯電話サービスに使われる。このほか、「ローカル5G」向けの周波数がある。ローカル5Gとは、企業や自治体が限られた範囲で利用するために構築する自営の5Gネットワークである。LTEにも、自営のネットワークである「プライベートLTE」がある。これの5G版といえるだろう。

 国内でローカル5G用の周波数として検討が進められているのが、4.7GHz帯(4.6G~4.8GHz)と28GHz帯(28.2G~29.1GHz)の2つ。4.7GHz帯は防衛省の公共業務用システムと、28GHz帯は固定衛星システムと共用することになるため、共用条件などの調整が必要となる。

 このうち、28GHz帯に含まれる28.2G~28.3GHzの100MHz幅については検討が完了し、利用できることが決まった。2019年末から免許申請の受け付けが始まっている。

将来の5G向け追加帯域候補

 5G向けの周波数帯域の拡大に向け、国際電気通信連合(ITU)の2019年世界無線通信会議(WRC-19)が2019年10~11月に開催された。WRCは3~4年ごとに開かれる会議で、国際的な周波数分配などを各国間で調整する場である。

 WRC-19では、5Gに使えるIMT向けの追加の周波数として、グローバルの周波数と一部の国・地域を対象とした周波数について合意された。IMTとは、ITUにおける国際的なブロードバンド移動通信システムの総称。ITUでは、3Gを「IMT-2000」、4Gを「IMT-Advanced」、5Gを「IMT-2020」と呼んでいる。

 日本国内で使える周波数としては、24.25G~27.5GHz、37G~43.5GHz、47.2G~48.2GHz、66G~71GHzの合計15.75GHz幅の周波数が合意された。現在国内で割り当てられている約2GHz幅に、約8倍もの帯域幅が追加される。2020年代半ばまでに、まずは43.5GHz以下の周波数を割り当てる方向で検討が進んでいるという。