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本記事は、日経アーキテクチュア2019年1月10日号~2019年12月26日号に掲載した「新・エコハウスのウソ」の記事を再録したものです。

 省エネ法適合義務化の追加対象は、中規模非住宅に絞られる見通しだ。2年半ぶりの「エコハウスのウソ」復活初回は、国土交通省の審議会委員も務める前真之・東京大学准教授が“住宅義務化先送り”に疑問の声を上げる。

(イラスト:ナカニシ ミエ)
(イラスト:ナカニシ ミエ)
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 建築物の省エネと性能向上を目標に、2015年7月に公布されたのが建築物省エネ法である。17年度からは非住宅建築物のうち大規模なものには「適合義務」、つまり省エネ法が求める性能を確保することがマストとなった。

 併せて20年までに順次、戸建て住宅を含めたすべての建物において「適合義務化」を進めること、つまり「省エネ性能確保をすべての建物で義務にすること」が大きな目標に掲げられていた。ところが今、その目標達成の雲行きが怪しくなっている。

 オフィスなどの非住宅建築物の大規模(床面積2000m2以上)は既に適合義務化されており、新たに中規模(同300m2以上2000m2未満)にも「適合義務化」が広がる予定だ。

 一方の住宅では、マンションなどの大規模・中規模については省エネ法で定める省エネ性能を評価し、届け出を行う「届け出義務」はあるが、要求された性能をクリアする適合義務はない。戸建てなどの小規模に至っては「努力義務」のみである。

 当初はこの戸建て住宅まで適合義務化する、というのが建築物省エネ法の大きな目玉であった。ところが、「努力義務」「説明義務」という精神論のままで、お茶を濁されそうな現状に陥ってしまっているのだ。