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本記事は、日経アーキテクチュアの2019年1月10日号に掲載した「フォーカス住宅」の記事を再編集したものです。

敷地に対して建物平面を「十字形」に配置した住宅だ。敷地四隅は庭として、オープンスペースを確保。屋内上層のほとんどを占める吹き抜け空間と呼応して、内外が連続する開放的な空間を生み出している。

 神奈川県鎌倉市の丘陵地に立つ木造在来構法2階建ての住宅で、夫婦と幼い2人の子どもが住む。設計を手掛けたのは石井秀樹建築設計事務所(東京都渋谷区)。石井秀樹氏は、279.59m2とゆとりのある敷地を生かし、建物平面を十字形に配置して敷地四隅を庭やアプローチに使うというプランとした。

1階平面図
1階平面図
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 駐車スペース脇のアプローチから中に進むと、建物の平面でちょうど中央付近に当たる中庭〔写真1〕に面して、エントランスの扉がある。この中庭は、屋根の棟木を井桁状に組む軸組み構造によって、建物の平面中央に生み出した空間だ。1階は南側のリビング〔写真2〕をはじめ、平面上は各居室が東西南北に突き出している。各居室の左右両側に、庭などのオープンスペースを設けた。

〔写真1〕空に抜ける中庭
〔写真1〕空に抜ける中庭
正面がエントランスの扉、右手が1階通路のデスク前開口部 (写真:安川 千秋)
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〔写真2〕リビング両側に庭
〔写真2〕リビング両側に庭
1階南側のリビング。東西両面に庭があり、開口部を開放すると屋外との連続感を楽しめる。開口部の上端を低めに抑えることで、落ち着きのある屋内空間となっている (写真:安川 千秋)
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 建物配置の効果が特によく分かるのがリビングだ。東西両面は3枚引き戸の掃き出し窓で、戸を壁内に引き込んで全面開放すれば、両側の庭(1階平面図の庭1・2)との一体感が生まれる。リビング北面の内壁は、一部を隣接する外壁と同じ化粧スレートで仕上げた〔写真3〕。意匠の連続性によって内外の境界を曖昧にする効果を狙った仕上げだ。

〔写真3〕外装が室内に連続
〔写真3〕外装が室内に連続
リビング北面は、内装の一部を隣接外壁と同じ化粧スレート(外壁用)で仕上げた。蔵のような印象を演出するとともに、内外の境界を曖昧にすることで開放感を生んでいる(写真:安川 千秋)
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