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本記事は、日経アーキテクチュアの2016年8月25日号に掲載した「フォーカス住宅」の記事を再編集したものです。

標準的なコストや工法と、断熱など長期優良住宅を前提とした性能の両立─。プロデューサーからそんな要望を受けた設計者の堀部安嗣氏は、そぎ落とした要素と比率感覚の妙によって、簡素ながら心地よい空間をつくり出した。

南北の連続性を重視した1階の居間と食堂。フローリング張りの居間と土間の食堂との間に設けた収納の内部に、床下エアコンを設置して全館の暖房をまかなう(写真:生田 将人)
南北の連続性を重視した1階の居間と食堂。フローリング張りの居間と土間の食堂との間に設けた収納の内部に、床下エアコンを設置して全館の暖房をまかなう(写真:生田 将人)
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 「これからの家」は、神戸市北区で開催中の「里山住宅博 in KOBE 2016」会場の一画に完成した。住宅博を象徴する先進モデルとなる。住宅博の閉幕後、当面の活用法は未定だが、いずれ販売する予定だ。

 プロデューサーを務める小池一三・町の工務店ネット代表は、設計者の堀部安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所代表)にこう依頼した。「地域の工務店と同じフィールドでつくる『普通の家』を設計してほしい」