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本記事は、日経アーキテクチュアの2018年7月26日号に掲載した「フォーカス住宅」の記事を再編集したものです。

「高齢者や被介護者に住みやすければ誰にとっても使いやすい」。そんな考えから生まれた賃貸住宅だ。1階住戸は水まわりを中心に置いた特徴的な間取りに加えて、将来のバリアフリー改修も想定。イニシャルコストとのバランスを図りながら、「住みやすさ」で賃貸市場での“競争力”を追求した。

 東京都武蔵野市の主要駅近くに立つこの住宅は、木造2階建ての小規模な賃貸用共同住宅だ。1階は全体が1住戸、2階は正面から見て左右に1住戸ずつ、合計3住戸分の居住空間から成る〔写真1、2〕。

〔写真1〕水まわり中心の回遊動線
〔写真1〕水まわり中心の回遊動線
1階住戸をダイニングから見渡す。水まわり(写真中央)を中心に、その周囲を各居室が囲む平面計画だ。室内は敷居などの段差がなく、扉の有効幅は車いすによる行き来も可能な寸法。完成後、建て主夫妻は1階住戸で一定期間生活して使い勝手を確かめた(写真:浅田 美浩)
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〔写真2〕外構にも改修の余地を織り込む
〔写真2〕外構にも改修の余地を織り込む
建物前面の外観。1階住戸の玄関への階段は勾配が緩やかで、将来手すりを設けることを考慮して余裕のある幅にした。駐車スペース側に段差解消機の設置も想定している(写真:浅田 美浩)
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 この住宅の特徴が明確に表れているのは1階の住戸だ。設計を手掛けたのはスタジオ3(東京都品川区)。代表の橋本彼路子氏が提案したのは、「高齢者世帯や被介護者がいる世帯にとっても使いやすい住空間」だった。