全2722文字
PR
本記事は、日経アーキテクチュアの過去記事を再掲載したものです。記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 メタボリズム(新陳代謝)の思想を体現した建築として世界的に知られる東京・銀座の「中銀カプセルタワービル」。建築家の黒川紀章氏(1934~2007年)が設計し、1972年に完成した分譲マンションだ。このマンションの管理組合総会が2015年12月6日に開かれ、ビル全体の耐震診断を改めて実施することが賛成多数で決定した。管理組合の議案には、「耐震性不足と判定された場合、『除却の必要性に係る認定』の申請を実施する」と記されており、耐震診断の結果によっては、ビルの解体に向かう可能性が出てきた。

現在の中銀カプセルタワービルの外観(写真:日経アーキテクチュア)
現在の中銀カプセルタワービルの外観(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 これを読んで、「あれ? 以前に建て替えが決まったはずでは…」と思った人もいるかもしれない。 確かに、一度は総会で建て替えが決まっていた。

 中銀カプセルタワービルでは、設備の老朽化や壁、天井などに吹き付けられたアスベストが問題になり、10年ほど前から建て替えの議論が高まった。2007年には、管理組合の臨時総会で、区分所有者の5分の4以上の賛成を得て、建て替えが決議された(「黒川氏設計の中銀カプセルタワービル、管理組合が建て替えを決議」参照)。

 だが、跡地にマンションを建設する予定だった建設会社が倒産し、決議は2009年に無効となった。

カプセル住戸の見上げ。数年前に部材の落下飛散を防止するネットが住戸全体に掛けられた(写真:日経アーキテクチュア)
カプセル住戸の見上げ。数年前に部材の落下飛散を防止するネットが住戸全体に掛けられた(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 その後は、カプセル住戸の所有者のなかに建て替え反対派が徐々に増え始めたこともあり、解体の議論が表面化することはなかった。それがここにきて、解体を示唆する耐震診断が総会で議論されることになった理由の1つは法改正だ。2014年12月に施行された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」(改正マンション建て替え円滑化法)である。