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本記事は、日経アーキテクチュアの過去記事を再掲載したものです。記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 東京・六本木の森美術館で「メタボリズムの未来都市展」が開催された。目玉の一つが、黒川紀章(1934年-2007年)が設計した中銀(なかぎん)カプセルタワービルの、実物大モデルルームだ。展示カプセルのレポートと黒川によるカプセル取り替え案を、2回にわたってお伝えする。(日経アーキテクチュア)

 これからの都市生活の姿を提案しようとする未来志向のデザインと、それとは裏腹に日常性を感じさせる造作家具の質感。黒川紀章の手がけた「中銀カプセルタワービル」のカプセルを今日の目で見てみると、そんな二面性を感じた。

 2011年9月17日から2012年1月15日まで開催された森美術館の「メタボリズムの未来都市展」に合わせ、六本木ヒルズに設置されたモデルルームを見学した。1972年の竣工以来、東京・銀座に建つ中銀カプセルタワービルの1階で展示されていたモデルを、竣工当時の内装に戻したうえで移設したものだ。展覧会終了後の翌1月16日からは、埼玉県立近代美術館のあるさいたま市の北浦和公園で展示されている。

 カプセルは、六本木通りに面した広場の一画にちょこんと置かれていた。実際のカプセルでは入り口にスチールフラッシュ戸を用いているが、ここでは内部を覗き込めるようにガラス戸をはめている。施錠されたガラス戸を開けてもらい室内へ上がると、天井と床カーペットの鮮やかな深青色が目に飛び込んできた。

カプセル外観。架台の上に、カプセルを設置していた。実際に使われているカプセルの丸窓には回転式に開閉するシャッターが設置されたが、展示しているモデルには付いていない(写真:守山 久子)
カプセル外観。架台の上に、カプセルを設置していた。実際に使われているカプセルの丸窓には回転式に開閉するシャッターが設置されたが、展示しているモデルには付いていない(写真:守山 久子)
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入り口からベッド方向を見る。白い壁に、天井と床の青が映える。オレンジや黒などのカプセルも用意されていた。手前に置かれたスツールを右側の壁ぎわに移動させると、ベッドと一体化したソファになる(写真:守山 久子)
入り口からベッド方向を見る。白い壁に、天井と床の青が映える。オレンジや黒などのカプセルも用意されていた。手前に置かれたスツールを右側の壁ぎわに移動させると、ベッドと一体化したソファになる(写真:守山 久子)
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