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本記事は、日経アーキテクチュアの過去記事を再掲載したものです。記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 突然、黒川氏から寄せられた問いかけ対して、大江会長は「黒川氏の主張はハードとして建物を残すという観点だけをとらえていて、発注者や地域の住民などの観点が抜けている。建物は建築家の作品だという考え方から脱却し、発注者や施工者、設計者などが協力し合うプロジェクトだと考えるべきではないか」と反論する。

 中銀カプセルタワーの「取り壊し派」というレッテルを張られた木村氏は当惑しながら次のように説明する。「私もこの建物が好きで、カプセルを所有している。文化遺産としての価値が高い点も踏まえながら、保存するのか建て替えるのかを議論してきた。カプセルを取り替えて保存するか否かは私だけで決めるわけではない。建て替え決議は2007年3月か4月に実施する予定だ。2006年9月に開催した建物の管理組合の臨時総会で、建て替え案とカプセル取り替えによる保存案のいずれを選ぶかについて議決をとったところ、115対15で建て替え案を選んだ人が多数を占めたのが実情だ」。

 展覧会を訪れた観客の意見は様々だ。例えば、40代でデザイナーの田中猛氏は「中銀カプセルタワーを取り壊そうとする動きがあることについては、私も『本気か!』と問いかけたい」と黒川氏に同調した。一方、ソニータワー大阪や中銀カプセルタワーのスクリーンに見入っていた40代の会社員の男性は、「あそこまで言うのはいかがなものか」と、名指しされた設計者に同情していた。

 表現方法の是非は別にして、一般の人に対して建築や設計者に対する関心を高める効果はあったようだ。大阪から見学に来た50代の女性は、「ソニータワーは大阪のシンボルだった。建築には詳しくないけれど、大江さんがどんな人か気になった。新しい建物が完成すれば、大江さんの作品だと思い出すのではないか」と語った。

 黒川紀章展は1月21日から3月19日まで、東京都港区六本木にある国立新美術館で開催されている。休館日は毎週火曜日。火曜日が祝日又は休日に当たる場合は開館し、翌日休館。黒川紀章展への入場は無料。

会場の出口に飾られている黒川氏の写真。意表を突く出で立ちに、見学者は足を止めて見入っていた(写真:木村 輝)
会場の出口に飾られている黒川氏の写真。意表を突く出で立ちに、見学者は足を止めて見入っていた(写真:木村 輝)

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