米Cypress Semiconductor(サイプレス)社は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み関連の国際展示会「embedded world 2018」(2月27日~3月1日)において、新たな統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)である「ModusToolbox」を発表した(ニュースリリース)。同社のJack Ogawa氏(Senior Director, Marketing, Microcontroller Business Unit)に話を聞いた。
同氏によればModusToolboxはEclipseベースのIDEで、元からCypressのプログラマブルSoC「PSoC」と旧・米Broadcom社の無線通信IC群「WICED:Wireless Internet Connectivity for Embedded Devices」の両方の開発に対応する。PSoCとWICEDの両方に対応するCypressのIDEは今回が初めてである。これまではPSoCの開発向けには「PSoC Creator」を、WICEDの開発向けには「WICED Studio」を用意してきた。
「PSoC Creator、WICED Studio、ModusToolboxはいずれもEclipseベースのIDEなので操作感に大きな差はない。今回、ModusToolboxとして一体化したことで重要なのは、PSoCのSDK(各種ソフトウエアスタック/ライブラリーなど)とWICEDのSDKが1つの環境で使えるようになったことだ」(Ogawa氏)。使えるSDKの幅が広がったことで、ユーザーの開発効率が向上するという。
ModusToolboxで最初にサポートされるPSoCは、昨年のembedded world 2017で紹介された最新の「PSoC 6」である(関連記事1)。「PSoC 4などに関しては、顧客の要望を聞いて対応を検討したい」(同氏)。
Cypressは今回、WICED Studioの最新版「WICED Studio 6.1」も発表した。このIDEはPSoC 6にも対応する。すなわち、PSoC Creatorから進化したModusToolboxと、WICED Studioの双方で、これまで扱っていなかったチップをサポートするようになった。「将来のどこかの時点で、WICED StudioはModusToolboxに収れんしていく。ただし現在はWICED Studioの愛好者が多いので、 WICED Studioも更改する」(同氏)。