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  2020年に5Gサービスを開始する予定のNTTドコモ。5Gのネットワークはどのように構築するのか。現行のLTEとはどのような関係になるのか。標準化の進捗も含めた5Gの最新事情を、中村武宏5G推進室室長に解説してもらった。

(聞き手は山崎 洋一=日経 xTECH

NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 室長 主席研究員 中村 武宏 氏
NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 室長 主席研究員 中村 武宏 氏
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5Gのネットワークは、4Gのネットワークに追加するのか。それとも新たに構築するのか。

 5G仕様には「スタンドアローン」と「ノンスタンドアローン」がある。4Gとは完全に独立して動作するのがスタンドアローン。もう一方のノンスタンドアローンは4Gありき。4Gの安定したネットワークを使って、ユーザーデータは5Gの新しい方を使って送るというものだ。

 当社は、ノンスタンドアローンでいこうと思っている。LTEのネットワークは全国にあるので、5Gをスムーズに安定して導入しようとしたら、ノンスタンドアローンの方がよい。コストを抑えられるという側面もある。

ノンスタンドアローンでは、4Gのアンテナに5Gのアンテナを足すような形になるのか。

 5G用の周波数がどのように割り当てられるかにもよる。3.5GHz帯など今使っているところに近い周波数帯が割り当てられたとすれば、同じ場所にアンテナを設置することを考えるのが一般的だ。一方、28GHz帯など現在と全く異なる新しい周波数が割り当てられたとすると、セルの半径が変わり、それに伴ってアンテナの設置場所も従来と変わってくる可能性がある。

 この点は、実験などを通じて見識を高めていきたいと思うが、基本的にはケースバイケースで判断して対応せざるを得ないだろう。それ以外の部分は、できるだけ今あるものを使う形で、ベンダーとそれでいけるのかを話し合いながら、開発を進めていくことになる。

28GHz帯など高い周波数は「飛ばす努力」をしている

5Gネットワークの準備状況は。

 5Gは業界団体の3GPPで標準仕様を作っており、その作業は2017年12月に一段落した。普通は、新しい世代のシステムを作るには、標準仕様ができてから2~3年かかる。我々は2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに(5Gサービスを)間に合わせたい。そうなると残された時間は2年半になる。その間に装置を作り、いろいろな場所で試験をして、メーカー間の接続テストも実施してと、いろいろな作業をしなくてはならない。

 当然ながら、ネットワークの設計は、2017年12月に仕様が一段落する前に着手している。海外ベンダーは皆、標準化の動向を見ながら「だいたいこういう感じになるだろう」という想定で装置の開発を進めている。そうでないと間に合わない。

5G向けの周波数帯として28GHz帯の名前がよく出てくる。現在よりかなり高い周波数帯なので、電波が飛ばなくなるのではないかと思うが、この点はどのように考えているか。

 一般に、周波数が10倍になると減衰量は100倍になる。エネルギー的にいえば、周波数10倍で100分の1だ。確かに電波は飛ばなくなるが、それを技術でカバーしてそれなりに飛ばす取り組みはいろいろと進めている。都市部で実際に実験をしているが、800mまで電波を飛ばして、それで1Gbpsのスピードが出ている。

 ただしこれは見通しの話。見通し外になると、かなり減衰してしまう。この点は反射をうまく利用して通信を維持できる方向で開発を進めている。それでも減衰はあり、カバレッジはシュリンクする方向になるので、28GHz帯で半径どのくらいまで電波が飛ぶかはなかなかいえない。

高い周波数帯に対応させる端末は、アンテナなどの関係でサイズが大きくなってしまうのでは。

 当社は最初から、FWA(Fixed Wireless Access)ではなくモバイル向けでサービスを開始したいと考えている。FWAだと家で使う装置は大きいし、動かさないので開発も早めにできると思うが、スマートフォンのような端末だと難しいものがある。

 スマートフォンのどこにアンテナを置くべきかなどは、いろいろと実験をしている。端末のアンテナの性能は、サイズや形状の影響があり飛躍的には上げられない。ただし上り通信に関しては、端末ではなく基地局の「聞く性能」が上がっており、全体としての性能は上げられると考えている。端末の送信パワーには限度があるので、上り通信の方が性能が低くなりがちだが、5Gでは映像を送るなど上り通信の需要が期待されている。TDD(Time Division Duplex)方式を使って上り通信によりリソースを割り当てることも可能なので、それを使って上り方向の伝送速度を上げられる可能性はある。