PR

 従業員用モバイル端末やPOSデータ分析基盤を自社で開発し、中国に300人規模の開発体制を持つトライアルグループは、IT活用に先進的な小売業として知られる。2018年5月25日、福岡国際会議場で開催中のICT総合展「Cloud Days 九州 2018」のキーノートで、トライアルホールディングス取締役副会長兼グループCIO(最高情報責任者)の西川晋二氏が講演し、リアル店舗を展開する小売業がデジタル化を事業拡大にどうつなげているのか講演した。

トライアルホールディングス取締役副会長兼グループCIO(最高情報責任者)の西川晋二氏
トライアルホールディングス取締役副会長兼グループCIO(最高情報責任者)の西川晋二氏
(写真:中馬 修)
[画像のクリックで拡大表示]

 トライアルは売り上げや自社カード会員数などをエリア単位で図式化するGIS(地理情報システム)を導入。複数店舗間の営業状況の比較や、新たな出店候補地の自動探索などが可能だという。POSデータは商品カテゴリーごとのサプライヤー代表者にも公開し、同社と共同で分析しながら集客力を高める取り組みを実践している。

 同社が現在力を入れているのが、「メディア」(西川氏)による効果的な情報伝達と、これによる売り上げの拡大。メディアの1つがレジで発行するレシートだ。

 小売業ではレシートにクーポンを付ける手法が広く導入されているが、同社は特定顧客層のレシートだけにクーポンを付ける。会員属性を基にクーポン提供者を絞り込むことで、クーポンの利用率は大きく向上し、リピート購入の拡大やブランドスイッチの推進に大きな力を発揮したという。さらに同社はその絞り込みに、AI(人工知能)を活用することにも挑戦中だ。

 ただし西川氏は「買い物の7割は、店舗を訪れてから決める非計画的な購買」とも指摘する。クーポン付きレシートによる売上拡大には限界があり、「店頭で触れるメディアが必要」(西川氏)という。そのツールの1つとして、タブレット端末を搭載したカートを開発し、試験導入を始めていると紹介した。セルフレジの機能を持ったカートで、客が商品をカート投入時に読み込ませると、その商品と同時に購入されやすい商品を画面でレコメンドする。これにより、非計画的な購買でも関連商品の売上拡大が可能になったという。

 多くの小売業が直面する人手不足対策として、セルフレジに加えて、カメラを使った商品管理などにも取り組む。先行導入する店舗ではカメラを約700台設置し、AIを組み合わせることで「従業員の目の役割を担っている」(西川氏)という。

 西川氏は「AIは自分たちだけが導入しても意味がない」と強調する。小売業全体の底上げには協業が必要とし、「一般社団法人リテールAI研究会」を同業他社と立ち上げて、人材育成やノウハウ蓄積に挑む。「多店舗展開してもコストに見合う仕組みを作っていく」(西川氏)という。