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 地域でIoT(インターネット・オブ・シングズ)活用プロジェクトの創出拠点となる「地方版IoT推進ラボ」は、3年間で全国74自治体で立ち上げられ、ユーザーやベンダーの協業の基盤として活動してきた。2018年5月25日、福岡国際会議場で開催されたICT総合展「Cloud Days 九州 2018」のパネルディスカッションでは、地方版IoT推進ラボを置く九州の4自治体の担当者が登壇。日経BP総研イノベーションICTラボの星野友彦をモデレーターに、4自治体の取り組みと成果を紹介した。

左から、福岡県商工部新産業振興課企画監の見雪和之氏、北九州市産業経済局企業支援・産学連携部新産業振興課の辻友美氏、九州先端科学技術研究所専務理事副所長の荒牧敬次氏、南島原市企画振興部商工観光課副参事の小関克稔氏
左から、福岡県商工部新産業振興課企画監の見雪和之氏、北九州市産業経済局企業支援・産学連携部新産業振興課の辻友美氏、九州先端科学技術研究所専務理事副所長の荒牧敬次氏、南島原市企画振興部商工観光課副参事の小関克稔氏
(写真:中馬 修)
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 口火を切ったのは福岡県だ。福岡県商工部新産業振興課企画監の見雪和之氏は、福岡県IoT推進ラボの活動について、2016年の立ち上げ以来、IoTを活用した飲酒運転防止システムや茶畑の防霜ファン故障検知システムなどを実現しており、具体的な成果が出ていることを紹介した。

 プログラミング言語「Ruby」にいち早く着目し、Rubyを使ったビジネスの新興を推進してきた福岡県からは、IoTに適した軽量の「mruby」も生まれている。mrubyを使い、代表的なLPWA(ローパワー・ワイドエリア)の1つである「LoRaWAN」とBluetooth をつなぐブリッジを開発中だ。見雪氏は「実現すれば世界初の製品となるのではないか」と期待を込める。

 続いて北九州市IoT推進ラボについて、北九州市産業経済局企業支援・産学連携部新産業振興課の辻友美氏が、新ビジネスの創出を補助する制度によって、2017年度に7件のIoT開発プロジェクトが立ち上がったことを紹介した。

 市内のシステムインテグレータが協力して開発したデータセンター用UPS(無停電電源装置)のバッテリー監視システムは、実証実験の段階に入っているという。北九州市に集積する製造業向けにIoTやAI(人工知能)、ロボットを使った生産性向上の支援策も展開。ここでも具体的な成果が上がっているとする。

 九州先端科学技術研究所専務理事副所長の荒牧敬次氏は、福岡市IoT推進ラボの取り組みについて話した。2017年8月から始めたLoRaWANの環境整備が進み、現在は市内の7割をカバーしているという。IoTとLoRaWANを基盤に、政府が掲げる「Society 5.0」のいち早い実現を目指す。「データを集めてAIで活用する環境を整え、市民が使えるスマートシティを実現したい」と荒牧氏は意気込む。

 長崎県の南島原市IoT推進ラボの活動について説明したのは、南島原市企画振興部商工観光課副参事の小関克稔氏。同ラボは、ITの技術者と地元住民によるアイデアソンやハッカソンを開催し、両者の交流によるニーズ掘り起こしに務めているという。

 「地元の人の話を聞くことで、これまでは気付かなかったニーズが明らかになり、新たなビジネスにつながる」(小関氏)と考えるからだ。またIoTを活用した新たなビジネスの創出は「楽しく開発していくことが重要」(小関氏)と強調。参加しやすい環境を整え、さらに多くの人や企業を巻き込んでいくことを目指しているという。