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 2018年6月14日、クラウドから人工知能(AI)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)、働き方改革までを取り上げる展示会「Cloud Days 名古屋 2018」(吹上ホール)のキーノートには第一生命保険 生涯設計教育部営業企画部InsTech推進室兼務次長の由水孝治氏が登壇。経験ゼロの状態からクラウド活用のスマホアプリを開発したポイントを紹介した。

第一生命保険 生涯設計教育部営業企画部InsTech推進室兼務次長の由水孝治氏
第一生命保険 生涯設計教育部営業企画部InsTech推進室兼務次長の由水孝治氏
写真:筒井 誠己
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 第一生命保険は2015年から保険業務へのITの活用を「InsTech」と表現し、取り組みを強化してきた。その一環で、由水氏は「2016年に顧客のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上を支援する健康アプリを短期間で作れ、と命じられた。これがそもそもの始まりで、当時はAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)もPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)も何のことかよく分からなかった」と振り返る。

 由水氏が最初に取り組んだのは、ヘルスケアに関するアプリ開発やシステム開発の実態の把握だった。「得られた結論は、ヘルスケアに関するソフトウエアは発展途上であり、勝ち組はない。よって、自分たちの手で開発せざるを得ない」(由水氏)。こうして自社によるアプリ開発に着手したという。

 開発の考え方としては、一から全てを開発するのではなく、既にあるものを上手く組み合わせた、アジャイルな開発を目指した。アプリの利用規模やサイズも見当がつかない。そこで、クラウド上のPaaSと、API連携の活用を基本方針に据えた。

 API連携を含めて開発には複数の会社が関わり、結果としてスタイルはアジャイルとウォーターフォールを部分的に組み合わせた「ハイブリッドアジャイル」のようなものになったのではないかという。

 クラウドにはマイクロソフトのAzureを選んだ。「金融機関なのでFISCの安全対策基準を満たせるかという点に加え、サポートが充実していることなどを評価した」(由水氏)という。懸念のセキュリティについては、顧客情報にアクセスできるベンダーを1社だけとするなどの対策を施した。

 本格的に開発がスタートしたのは2016年11月だったが、翌年3月にはiOSおよびAndroid用のヘルスケアアプリ「健康第一」の最初のバージョンをリリースした。最初のiPhone向けアプリでは、完成したつもりで申請した後、アップルの拒絶を受け、様々な作り直し作業が発生したこともあった。こうした努力が実り、ヘルスケアカテゴリーのアプリで1位を獲得したこともある。

 その後、健康第一のアプリは同年10月にバージョンアップ。由水氏はアプリの開発に当たって「小さく始め、だんだん機能を加えて徐々に育てていく方針を取った。短期間でリリースできたのもそのおかげ」と語ったうえで、「今後もクラウドとAPIに興味を持って良いサービスを提供していきたい」として講演を終えた。