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 2018年6月14日、クラウドから人工知能(AI)、IoT(インターネット・オブ・シングス)、働き方改革までを取り上げる展示会「Cloud Days名古屋 2018」(名古屋市中小企業振興会館吹上ホール)のキーノートで、カシオ計算機執行役員生産本部長の矢澤篤志氏が登壇し、同社のものづくり強化に向けた構造改革とスマートファクトリーへの取り組みを明らかにした。

カシオ計算機執行役員生産本部長の矢澤篤志氏
カシオ計算機執行役員生産本部長の矢澤篤志氏
(写真:筒井 誠己)

 カシオ計算機は、昨年創立60周年を迎えたのを機に、トップダウンで組織の構造改革を推進している。同社では従来、品目別の組織構造、いわゆる事業部制を取ってきたが、「事業部制は責任が明確になる利点がある一方で、個別の採算に走りがちになるデメリットがある。新たな製品、新たな事業を生み出すことを念頭に、機能別の組織づくりを推進してきた」と、矢澤氏は冒頭で改革の意図について説明した。

 組織構造にメスを入れる一方で、同社では生産戦略の転換も図ってきたという。

 2010年時点で同社には、生産拠点の中国集中と日本品質維持の困難、生産技術の消失・空洞化という3つの課題があった。「これに対して2017年時点で、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心としたグローバルな生産拠点の確立、日本品質維持のためのマザー工場機能の再構築、日本での開発技術のグローバル応用を実現してきた」と、同氏は変革の成果を強調した。

 同社の生産戦略の中で特に重要な位置を占めるのが「マザー工場山形カシオ」の存在だ。山形カシオでは、EMSによる技術の空洞化という過去の反省を受け、同工場では全ての品目について全工程を再配置し、フロントローディングの徹底と、自動化および標準化した技術を海岸拠点へ応用することを目指している。

 「例えば山形のマザー工場では、仮想現実(VR)技術を使って生産ラインのシミュレーションを行い、それを海外に持ち込んで設備を立ち上げている」と矢澤氏は解説した。また、スマート工場の取り組みとして、海外の拠点を含め工場の生産データを一括して収集し、AIによる機械学習を通じて予兆保全に活用している山形カシオの事例についても紹介した。

 最後に矢澤氏は、生産性の改善に重要なポイントとして「組織構造まで戻って考える。アーキテクチャとロードマップは必ず作る。コア技術を整理してプラットフォーム化する。3文字熟語にだまされない。新技術の実証実験をすばやく行う。プロセスオーナーが熱い思いと責任を持って推進する」の6点を挙げた上で、「今日の講演が皆様の生産ライン改善に資することを期待したい」と来場者を激励して話を締めくくった。