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 2018年6月14日、クラウドから人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)、働き方改革までを取り上げる展示会「Cloud Days名古屋 2018」(名古屋市中小企業振興会館吹上ホール)のキーノートで、メディアスケッチ代表取締役でサイバー大学客員講師の伊本貴士氏が、2020年を想定して、ロボットやAI、ブロックチェーン、IoTがもたらす変化について講演した(図1図2)。

図1●メディアスケッチ代表取締役でサイバー大学客員講師の伊本貴士氏
図1●メディアスケッチ代表取締役でサイバー大学客員講師の伊本貴士氏
(写真:筒井誠巳)

 「第3次産業革命はIT革命、来たる第4次産業革命はAI革命だろう。この革命が起こるのは一般に2040年や2050年頃と考えられているが、私は2020年に起こると予想している。進化はものすごいスピードで進んでいる」。講演の冒頭で伊本氏は急変するビジネス環境についてこう語り、来場者を驚かせた。

 AIを根底で支える技術がIoTだと述べた上で、伊本氏は「研究、経営、生産の3分野でIoT+AIの組み合わせが急速に進展しつつある」と語った。このうち、生産では世界のIoTのトレンドとして「マスカスタマイゼーション」が進むとみる。

 「これは個性・環境に合ったもの、希望通りのものをマス向けに安く提供することだ。必ずしも高品質、高スペックなものである必要はない」と伊本氏は言う。一例として、建築に必要な時間は24時間で価格がわずか100万円の、3Dプリンターで造ったコンクリート製の家を提供するロシア企業などを紹介した。

図2●満席の会場の中、熱弁を振るう伊本氏。
図2●満席の会場の中、熱弁を振るう伊本氏。
(写真:筒井誠巳)

 さらに、オープンソースハードウエアである制御装置「Arduino(アルデュイーノ)」などを使って安価でIoTを実現した事例を、自ら製作したものを含めて紹介。「予算の少ない中小企業でもIoTの実装は可能だから、とりあえず自分たちでやってみることを勧めたい。社員教育にもなるし、若手のモチベーション向上にも役立つ」(伊本氏)。

 AIについては、回帰分析(予測)とクラス分類(グループ分析)の2つができると指摘。回帰分析の事例として、伊本氏自身が研究する犯罪予測について紹介した。これは「例えばツイッターのつぶやきなどと場所、時間などの情報を組み合わせて分析し、犯罪の発生を予測する」(伊本氏)というAIの応用事例だ。

 クラス分類については、強化学習によるゲームの事例を挙げた。「複雑なゲームでもAIが勝つようになりつつあり、今後はAIが人間の最適な行動を計画するようになるかもしれない」と伊本氏は語った。

 その上で現在のAIは大量のデータを分析して公式を作りあげるものであり、人間を駆逐するといった話は妄想に過ぎないと指摘した。

 現在は仮想通貨での利用が目立つブロックチェーンに関しても、生産現場への応用について言及した。プロックチェーンの持つ改ざんの難しさを利用すると、AIと組み合わせることで発注の自動化、いわゆるスマートコントラクト(契約)によるバリューチェーンの再定義も可能になるだろうと述べた。

 最後に伊本氏は、トヨタ自動車のトヨタ生産方式から生まれたリーン生産方式の考え方を生産現場以外にも適用するリーン思考に触れた。「ムダを徹底的に排除し、ゼロベースでこれからの時代に何が必要かを考えるのが重要だ」と述べて講演を締めくくった。