イスラエルMobileye(モービルアイ)社のAmnon Shashua氏(CEO&CTO)は、ドイツ・ドレスデンで開催中の電子設計・テスト技術に関する国際学会「2018 Design, Automation & Test in Europe:DATE 18」(3月19日~22日)の最初の基調講演に登壇した。丁度1年前の2017年3月に米Intel社が同社を買収することを発表し(関連記事1)、現在MobileyeはIntelの完全子会社である。Shashua氏はIntelのSenior Vice Presidentも兼任している。
講演タイトルは「The Responsibility Sensitive Safety (RSS) Formal Model toward Safety Guarantees for Autonomous Vehicles」だった。Mobileyeは車載用画像認識技術/ICのメーカーで、自動運転関連技術で注目を集めている。Shashua氏はCTOを兼ねていることから、同社製品の技術や自動運転実現技術について語るかと思っていたが、話題の中心は「自動運転車が安全なことを、どうやって社会(一般の人)に認識してもらうか」だった。偶然とは言え、米Uber Technologies社の自動運転車が歩行者の死亡事故を引き起こした直後の講演であり(関連記事2)、聴講者の関心は高かった。
同氏が最初に述べたのは、「絶対に安全な自動運転車は実現不可能なこと」。例えば、自動運転車の周りに人が運転するクルマが走っていて、そのクルマが何らかの原因で自動運転車に近づきすぎると事故が発生する恐れがある。自動運転車側で完全に防ぐことは難しい。絶対の安全が無理だとすれば、どうすれば、「自動運転車は安全だと思ってもらえるのか」と同氏は会場に問いかけた。
例えば、自動運転車が事故になる確率を示せばよいか。それを示し、人が運転するクルマよりもかなり低いことが分かったとして、社会は納得してくれるのかは分からないとした。それでは、安全対策をこんなにたくさん行いましたと訴えたら、どうだろう。こちらも、なかなか納得してもらえないと思われる。