議論の出発点としてモデルを提案
同社が提案するのが、講演タイトルにも含まれる「RSS:Responsibility Sensitive Safety」モデルである(Intelニュースリリースの日本語訳、RSSの英文論文:PDF)。複数の式からなるモデルで、事故が起こった場合にその責任の所在をあきらかにしたり、事故を未然に防ぐための回避動作を決めたりすることを目的にする。自動運転車が実用化しても、当面は人が運転するクルマと一緒に道路を走行することを想定して作られたモデルである。
例えば、センシングデータからクルマ同士の距離を把握して、事故になりそうだと判断した場合には、回避動作を促す。前を走るクルマがブレーキを踏んで車間距離が短くなったら、減速して適切な車間距離に調整する。車線が複数ある道路で、横を走っていたクルマが車線に入り込んで来たら、減速して適切な車間距離に調整するといったケースに対応する。
さまざまな状況を考えてRSSを確立したようだが、それでもShashua氏は、「RSSは議論のためのスタート地点にすぎない」とし、自動運転車を安全とみなす基準作りに社会全体が早く取り組むように訴えた。「事故が起きてからルールを作るのではなく、事故が起きないようにルールを作るべき」とした。また、「ルールができないと、安全にするためのアルゴリズムの開発が難しい」とメーカーのCTOらしい発言もあった。