独Volkswagen(フォルクスワーゲン)社グループで自動運転の研究開発トップのThomas Form氏(Head of Vehicle Technology & Mobility Experience, Group Research)が、ドイツ・ドレスデンで開催中の電子設計・テスト技術に関する国際学会「2018 Design, Automation & Test in Europe:DATE 18」(3月19日~22日)において基調講演を行った。講演タイトルは「Autonomous driving: ready to market? Which are the remaining top challenges?」である。DATE 18には4つの基調講演があり、同氏は4つめに登壇した。

Form氏によれば、自動運転車の開発には2つのパターンがあるという。1つは既存の自動車を徐々に機能アップしていくパターン(evolutionary approach)。レベル1から2、3、4、5と自動運転機能を向上させる。Volkswagenを含めて既存の大手自動車メーカーが取っている手法である。このevolutionary approachに対して、もう1つ別のパターンがあり、それをrevolutionary approachと呼ぶ。revolutionary approachでは、いきなりレベル5(完全自動運転)のクルマを開発する。
evolutionary approachでは、自動運転技術の向上には時間がかかり、「something everywhere」(どんなケースでも一定の機能が稼働する)の状況が長く続く。一方、revolutionary approachでは最初から完全自動運転車を狙うため、それが利用できるケースは限られる。同氏はこれを「everything somewhere」だとした。
Form氏は両方のパターンの自動運転車の実験プロジェクトに携わってきた。例えば、既存のクルマを自動化するevolutionary approachでは、Volkswagenグループの独Audi社の「A7 Sportback」にさまざまな機能を加えた実験車を、CES 2015の際にシリコンバレーからラスベガスまで走らせた(関連記事1)。revolutionary approachの実験車が「ジュネーブモーターショー2017」で見せた「Sedric」。ステリングホイールやアクセル/ブレーキペダルがない、完全自動運転車である(関連記事2)。