ライドシェアを身近にした配車サービス大手の米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)。さらなるサービス拡大に向けて、自動運転技術の開発に力を入れている。実はもう1つ、同社が次の事業の「柱」に育てようと注力している分野がある。それが、都市内や都市近郊の短距離移動に向けた「空のライドシェア」だ。
空のライドシェアでは、その名の通り、航空機で空中を移動する。広範な土地の確保が難しい都市部でもサービスを行えるように、長い滑走路が不要で、ビルの屋上のような限られた場所でも離発着できる垂直離着陸機(VTOL機)を用いる(図1)。
VTOL機の中でも、従来の内燃機関ではなく、モーターで回転翼(ローター)をさせる電動タイプ(eVTOL機)の利用を前提にする。電動機の方が、温室効果ガスの削減と燃費向上、騒音の低減、構造の簡素化によるメンテナンス負荷の軽減などが可能になるからだ。Uberの試算によれば、電動VTOL機を用いたライドシェアであれば、自動車に比べて移動時間を数分の1にできるだけでなく、いずれ配車サービスよりも安価にできるとしている(図2)。
空のライドシェアは、都市部の交通渋滞によって生じる各種問題を解決する手段になり得ることから、行政側の期待も大きい。実際、Uberは、米国テキサス州のダラスやフォートワース、アラブ首長国連邦のドバイなどとパートナーシップを締結。これらの都市で実証試験を行う予定だ。