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 ドイツDaimler(ダイムラー)は、電動車両の駆動用モーターを制御するインバーターにSiC MOSFETを適用した場合の影響を試算し、その結果を「PCIM Europe 2018」で発表した。登壇者は、同社 AE Power ElectronicsのAlexander Nisch氏である。同氏は、駆動電圧(DCリンク電圧)を現行の約400Vから約800Vに高めつつ、SiC MOSFETを適用することで、電動パワートレーンに用いるインバーターと2次電池を合わせた「システムコスト」を、同400VでSi IGBTを用いる現行に比べて安価にできるとの見解を示した。SiC MOSFETは、Si IGBTに比べて高価なものの、低損失な分、同じ航続距離ならば車載2次電池の容量を小さくできるので、トータルコストを削減できる、との見解をデバイスメーカー側が示してきた。今回のように、デバイスのユーザーである大手自動車メーカーがこうした試算結果を示したのは珍しい。

DaimlerのNisch氏が講演する様子
DaimlerのNisch氏が講演する様子
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 Nisch氏によれば、インバーターの出力パワー密度は年々増加傾向にある。400V前後のDCリンク電圧を維持したまま、体積を小さくしつつ出力電流を大きくし、出力パワー密度を向上させてきた。具体的には、2009年では体積4.1Lで1相当たりの最大出力電流が215Aだった。2012年になると同3Lで同240Aに、2014年になると同3.8L、325Aに、2016年になると同3.3Lで300Aにまで向上した。出力パワー密度に換算すると、2009年比で2012年は1.6倍、2014年は1.75倍、2016年は1.85倍になる。今後もこの傾向は変わらず、さらなる密度向上が求められるという。そこで、現行のSi IGBTに比べて低損失で小型化に向くSiCパワーデバイスを適用した場合の影響を試算した。