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 パワー半導体最大手のドイツInfineon Technologies(インフィニオン・テクノロジー)は、エレクトロニクスの展示会「electronica 2018」(2018年11月13~16日、ドイツ・ミュンヘン)の開催前日に開かれたカンファレンス「electronica Automotive Conference」で、SiC MOSFETがどのような電動車両に向くのか、その見解を示した。登壇したのは、同社IFAG ATV HP IET, Automotive High Power, Innovation & Emerging Technologies, Vice PresidentのMark Münzer氏である。

講演するInfineonのMünzer氏(撮影:日経 xTECH)
講演するInfineonのMünzer氏(撮影:日経 xTECH)
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 現在、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)といった電動車両では、駆動用モーターを動かすインバーターにSi IGBTを利用することが主流になっている。そのSi IGBTに比べて、インバーターの電力損失を大幅に低減できるパワー素子がSiC MOSFETである。だが、Si IGBTに比べてコストが高い。

 そこで、インバーターと2次電池を合わせた「システムコスト」として、SiC MOSFETとSi IGBTで、どちらが全体のシステムコストを下げられるのか、議論の的になっている。SiC MOSFETは、低損失な分、同じ航続距離ならば車載2次電池の容量を小さくできる。すなわち、電池容量の削減によるコストダウン分が、SiC MOSFETのコストアップ分を上回ってから、SiC MOSFETを適用する意味がある。