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 「ISSCC 2019(International Solid-State Circuits Conference 2019)」(2月17日~21日に米国サンフランシスコで開催)では、A-D変換器に関する14件の発表が2セッションに分かれて行われ、今年(2019年)も割り当てられた大会場に立ち見が出るほどの大盛況となった。A-D変換器は、センサー、無線・有線通信、医療機器、計測器など、あらゆる用途で使われており、技術者や研究者の関心が高いためと考えられる。

 一方で、A-D変換の高速化、高精度化、低消費電力化に向けて、技術は複雑化の一途をたどっており、この分野への新規参入を難しくしている。特に、ISSCCで採択されるためには、性能指標(下図)が過去の記録を塗り替えるほどに高いことが要求されるため、ISSCCで発表できる栄誉を手にする機関は限られている。今年は、14件中、中国University of Macauが4件、台湾MediaTekが3件、ベルギーIMECが2件、ベルギーKU Leuvenが2件と寡占状態となった。

ISSCCで発表されてきたA-D変換器の性能推移。筆者が作図
ISSCCで発表されてきたA-D変換器の性能推移。筆者が作図
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 近年のISSCCでは、逐次比較(SAR)変換によるμW、nW級の超低電力A-D変換器の発表が技術トレンドとなっていたが、今年のISSCCでは、変換可能な信号帯域が25M~100MHz、変換精度が11~12ビットの、広帯域と高精度を両立したA-D変換器が6件も発表された。これらは、1.3m~29mWと消費電力もそれなりに抑制できている。逐次比較A-D変換器の場合、A-D変換器の消費電力がゼロに近くても、ほかの回路ブロックの消費電力が存在するため、これらの回路も同様に低電力化されない限り、全体として見た電力削減効果は、限定的である。一方、今年発表された上記の6件は、実用上、魅力的な性能を備えており、5Gや次世代の医療機器、産業機器の実現に向け、すぐにでも適用してみたいA-D変換器である。

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