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 2019年5月22日、「名古屋デジタルイノベーション 2019」(主催:日経BP)の基調講演(KEYNOTE)に日本ディープラーニング協会(JDLA)理事でABEJA 代表取締役社長の岡田陽介氏が登壇し、「『ディープラーニング』の最前線とJDLAの取り組み」と題して講演した。

日本ディープラーニング協会(JDLA)理事でABEJA 代表取締役社長の岡田陽介氏
日本ディープラーニング協会(JDLA)理事でABEJA 代表取締役社長の岡田陽介氏
(撮影:筒井誠己)
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 岡田氏はABEJA創業から7年間の経緯や実績などを紹介した後、AIの進化に話を進めた。「2012年10月以降、AIは『認識』『運動の習熟』『言語の意味理解』へと進化してきた。これは人間の赤ん坊と同じ軌跡をたどっている。そして今後も進化のスピードは上がっていく」と話す。

 続けて岡田氏はAIに関する最近の実績を紹介した。「2018年はAutoMLやBigGAN、BERTが登場するなど、かなり実りの多い年だった」と述べた上で、「これらの実績はすべてディープラーニングがベースとなっている」と指摘する。

 岡田氏は「すべては2012年10月にトロント大学のジェフリー・ヒントン教授のチームがディープラーニングによる画像認識で10%以上の精度改善に成功したことから始まった。その後、欧米企業はディープラーニング関連企業の買収合戦に明け暮れた」と説明。「ほとんどの日本企業は、こうした流れに追い付いていけなかった。なぜ勉強しないか不思議で仕方がない」と続け、AIをキーテクノロジーとしてモノ売りからコト売りへとビジネスモデルを変革することの必要性を力説した。

 その後、岡田氏はトプコン、デンソー、ダイキン工業といったABEJAの導入事例や同社のプラットフォームの概要に触れた後、失敗するAI導入の共通項を紹介した。投資の少なさや本気度の欠如などと並んで、「経営者が技術革新をキャッチアップ(勉強)できていない」「ITに弱すぎ=最先端に触れなさ過ぎる」「AIは人材獲得・育成競争であると分かっていない」など、人材面の課題を挙げた。

 こうした人材面の課題の解決を目指して2017年10月に設立されたのが、岡田氏が理事を務めるJDLAだ。技術者を対象にした「E(エンジニア)資格」と、非技術者に向けた「G(ジェネラリスト)検定」の2つの検定試験を実施し、AI関連の人材を育成を試みる。「今さら検定制度が必要なのかという声もあったが、検定制度があったほうが勉強する意欲が湧きやすい」(岡田氏)。「すでにAIはやるだけのフェーズ。まずはAIを理解して、使ってほしい」と来場者に呼び掛けて、講演を締めくくった。