PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!

 「木目調プリントのシートでは得られない、本物の木のリアルな質感がセールスポイント。本物志向のユーザーに訴求できるとしてデザイナーが採用してくれる」。ゼロワンプロダクツ(本社大阪市)代表取締役の樋口伸一氏はこう語る。

 同社の武器は、天然木シート「テナージュ」。0.15~0.25mm程度に薄くスライスした木材に、ウレタン系やアクリル系などの樹脂を高温・高圧で含浸させたもの。これを使って樹脂製品に本物の木の質感を持たせる加飾技術を開発し、自動車や家電製品へ攻勢をかけている。現在、複数の欧州高級車メーカーが車内の内装品用に採用を検討しているという。

図1 自動車部品用の試作サンプル
図1 自動車部品用の試作サンプル
[画像のクリックで拡大表示]

 薄くスライスした乾燥木は力を加えるとすぐに割れてしまうが、テナージュは繊維や導管部に入り込んだ樹脂が応力集中を緩和するため、折り曲げても割れたり裂けたりしない。杉材から黒檀(こくたん)までさまざまな天然木をシートにできる。寄せ木細工にも適用できる。

 もともとは「縫える天然木」としてもっぱら財布などの工芸製品に使われていた。携帯電話機やノートパソコンなど一部工業製品の意匠用にも採用されたが、平面部にしか貼り付けられないため用途が限られていた。

図2 テナージュを採用した財布や折り畳み式携帯電話機
[画像のクリックで拡大表示]
図2 テナージュを採用した財布や折り畳み式携帯電話機
[画像のクリックで拡大表示]
図2 テナージュを採用した財布や折り畳み式携帯電話機
財布には寄せ木細工を薄くスライスしたテナージュを縫い付けてある。

 そこで、テナージュをさまざまな樹脂工業製品の加飾に使うべく開発したのが「IMW(Insert Molding of Wood))工法」。テナージュを射出成形金型に入れてインサート成形する技術で、樹脂製品ながらあたかも木工製品のような外観を得られる。木目調シートとは違う本物の質感がセールスポイントだ。

 IMWを最初に適用した工業製品が、2017年に発売されたパナソニックの電動シェーバーの限定モデルである。グリップ部にウォールナットやローズウッドなどを使ったテナージュが採用された(図3)。こうした複雑な曲面形状の場合、平面のテナージュのシートをそのまま金型に入れてもきれいに射出成形できない。そこで、あらかじめ賦形(ふけい)型で予備賦形し、それを本金型に入れてインサート成形する手法を開発した。同シェーバーの場合、きれいに金型に沿わせるために荒成形と仕上げ成形と2つの賦形型で予備賦形したという(図4)。

図3 パナソニックの限定モデル
図3 パナソニックの限定モデル
写真はウォールナットのモデル。あたかも木を削り出したグリップのように見える。この他、チークやマホガニーなどのモデルもあった。
[画像のクリックで拡大表示]
図4 賦形したテナージュ
図4 賦形したテナージュ
中央が予備賦形したもの。これを射出成形用の金型に入れてインサート成形する。写真左はIMWで射出成形した製品(ローズウッド用)。同右は木材を削り出したもの。削り出しはコストと手間がかかりすぎるため使われなかったという。
[画像のクリックで拡大表示]

 今後は、IMW工法を生かして工業製品への展開を拡大する考え。上記のように欧州自動車メーカーが採用に向けて動いている他、複数の国内エアコンメーカーがきょう体の意匠用に使いたいと検討を進めているという。