沖縄県で次世代の移動サービス「MaaS(Mobility as a Service)」の実証が進んでいる。総合建設コンサルタントの八千代エンジニヤリング(東京・台東)は、「ブロックチェーン」を使ったMaaSの仕組みを開発した。マイカー利用が多い地域での駐車場不足や渋滞の緩和を目的に、ブロックチェーン上の記録データを分析して効率的な利用を促す。2019年1月に沖縄国際大学と連携して実証した。2020年代前半には本格的な商用化を目指す(図1)。

図1 八千代エンジニヤリング(東京・台東)は2019年1月、沖縄でMaaSの実証を行った(撮影:日経 xTECH)
図1 八千代エンジニヤリング(東京・台東)は2019年1月、沖縄でMaaSの実証を行った(撮影:日経 xTECH)
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 沖縄国際大学は約5500人の学生が在籍しているが、このうち約7割の3700人がマイカーで通学しているという。しかし、駐車可能台数は2000台ほどで、路上駐車や入庫待ちが多発。駐車空間を学生間で奪い合う構図となり、一部では車両の接触事故も発生している。「解決策は他モビリティーとの連携だ」――。八千代エンジニヤリング技術創発研究所研究員の小篠耕平氏はこう話す。

 学生はスマートフォン(スマホ)のMaaS専用アプリケーション(アプリ)で駐車場の混雑状況を確認し、システム上で駐車場を予約する。どうしても駐車場が確保できない場合には公共交通のバスを使う。これまで同地域では、マイカー通学の車両が路上にあふれ、バスが定刻で到着できないといった問題が多発していた。無理なマイカー通学を減らして道路の渋滞を緩和し、1割に満たなかったバス通学者の人数を底上げしていく。

MaaS市場は2030年に6兆円規模へ

 既にマイカーを所有する学生がバスを使いやすくなるように、利用料金を割り引いたり、学内や地域で使えるポイントを付与したりする。システムの根幹にブロックチェーンを活用しているため、このようなインセンティブのやり取りがしやすい。交通手段が少ない地域では、自転車や1~2人乗りの超小型電気自動車(EV)のシェアリングを連携させていく。「他モビリティーをMaaSに組み込む際に、ブロックチェーンには契約の事務処理を簡略化する効果もある」(小篠氏)という。

 調査会社の矢野経済研究所によると、日本のMaaS市場は2030年に6兆3634億円まで成長する見通し。これは、2019年の市場見込み1227億円の50倍以上の規模となる。成長見込める巨大市場を目指してMaaSに参入する企業は後を絶たず、自動車メーカーやIT企業、鉄道会社などが名乗りを上げている(関連記事:日経 xTECH「MaaS」一覧)。

 八千代エンジニヤリングは「交通インフラWEEK 2019(TECHNO-FRONTIER 2019併設)」(幕張メッセ、2019年4月17日~19日)で実証の概要を披露した。他地域への適用を見据えて意見の収集を進めている。