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 日本積層造形(本社宮城県多賀城市、JAMPT)は、ドイツのミュンヘン工科大学のレーシングチーム「TUfast Racing Team」が開発した2019年シーズン向けの車体に採用されたクーリングハウジングを、AM(付加製造)/3Dプリンティングのイベント「RAPID+TCT 2019」(2019年5月20~23日、米国・デトロイト)に出展した。「複数の造形サービスに依頼したが、造形に成功したのはJAMPTだけだったという」(同社)。

図1 ミュンヘン工科大学のレーシングカーに採用されたヒーリングクーラント
図1 ミュンヘン工科大学のレーシングカーに採用されたヒーリングクーラント
流路部分から未硬化の粉末を取り除くのが難しかった。写真はカットモデル。(写真:日経 xTECH)
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 造形したクーリングハウジングは各車輪の軸受け付近に取り付ける部品で、内部に複雑な冷却配管を有する。材料はALSi10Mgで、粉末床溶融結合方式(パウダーベッド方式)のAM装置「EOS M280」(ドイツEOS社)を使って造形した。

 パウダーベッド方式では中空部分に未硬化の粉末材料が詰まった状態になるため、これを造形後に取り除く工程が必要になる。この際、内部配管のように入り組んだ部分から未硬化の粉末材料を取り除くのは難しい。特に、今回の部品は熱交換の性能を高めるために、内部は格子状の金属板が交互に並んだような、極めて複雑な形状だ。

 JAMPTではレーザーの出力や走査速度、積層厚さなどの造形条件を試行錯誤し、完全に未硬化粉末を除去できるようにした。一般に、未硬化部分にもある造形中に程度熱が伝わることが多く、半硬化のような状態になってしまうことがある。これを避けられる造形条件を見いだした。

 クーリングハウジングの形状はミュンヘン工科大学が設計した形状のままで実現しており、造形の都合での変更は全くないという。未硬化粉末が残留していると流路抵抗が増えるなど熱交換の性能にも影響するが、「ミュンヘン工科大学の学生は、出来上がりを見てとても満足してくれた」という。

図2 ドイツのミュンヘン工科大学のレーシングチーム「TUfast Racing Team」が開発した2019年シーズン向けの車体
図2 ドイツのミュンヘン工科大学のレーシングチーム「TUfast Racing Team」が開発した2019年シーズン向けの車体
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