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 ソニーはドイツ・ベルリンで開催中の「IFA 2019」(2019年9月6日~11日)で、例年のように大型のブースを構えて多くの新製品を展示している(図1)。新しいテクノロジーを訴求する展示はさほど多くないが、その中で今回注目されたのが、同社が「360 Reality Audio」と呼ぶ立体音響の実現技術だ。

図1 新製品を中心に展示
図1 新製品を中心に展示
2019年秋に欧州で発売予定の「Xperia 5」(左)と2020年1月に発売予定のワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン「WI-1000XM2」(右)。共に日本での発売は未定。
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 360 Reality Audioの狙いは、ライブ演奏のような臨場感のある音響をスマートフォン(スマホ)で実現すること。具体的には、スマホで撮影したユーザーの耳の画像から「聴感特性」を解析し、個々のユーザーに最適化した臨場感のある演奏を実現する(図2)。

図2 スマホを使った耳の形の撮影の様子
図2 スマホを使った耳の形の撮影の様子
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 耳の形のデータを取得する理由はこうだ。ヘッドホンの音源の位置は、実際の音源と比べて耳から非常に近い位置にある。このため、耳の形で聞こえ方が変わるという。音楽の制作者が聞かせたい音をすべての人でほぼ同じにするためには、個人の耳の形を計測して差を補正する必要があった。

 360 Reality Audioの使い方はこうだ。スマホで専用アプリを立ち上げ、表示される指示に従って横顔の写真を撮影する。両耳の形のデータを取得するため、撮影は左右の2回行う。

 360 Reality Audioは音源そのものだけでなく、音源の位置情報も含む「独自のオーディオフォーマットを採用している」という。このため、取得したデータを元に音源の位置を最適化できる(図3)。実際に記者が音楽再生を体験したところ、楽器の音や歌声が聞こえる方向の違いをはっきりと認識できた。

 ヘッドホンの場合、再生するコンテンツが360 Reality Audioに対応していれば、専用の機器は不要だが、ユーザーの耳の形に合わせて、再生音に信号処理を施す必要がある。スピーカーの場合は、全方向に音を放射する製品が必要になる。他社のオーディオ機器でも、ソニーの公開する配信フォーマットに対応すれば360 Reality Audioを利用できる。

 具体的なサービスの開始時期は「配信サービスを手がける各社と調整中」(ソニー)とする。対応機器については、「最初はヘッドホンやスピーカーから技術開発を進める」(同社)。

図3 自由に配置できる音源のイメージ
図3 自由に配置できる音源のイメージ
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