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 マツダが2010年に発表した次世代の自動車技術「SKYACTIV TECHNOLOGY」は、「内部の燃焼が見られるようなガラスのエンジンを作り、高速度カメラで計測しながら現象を解明し、モデルを作り上げた」(木谷氏)ようなMDI 1の取り組みが奏功している。

 マツダは自動運転の実現に向けた開発を進めている。この場合、モデルベース開発においても自動車そのものモデルや制御のモデルに加えて乗員モデル、周囲の環境モデルが必要になってくる。こうした環境の変化もあり、「昔は限られた人がMBD(モデルベース開発)に取り組んでいたが、今はR&D全員でモデルを作るという意気込みで進める」(木谷氏)ように社内の雰囲気も変わっている。

(撮影:安蔵靖志)
MDIの取り組み2
開発から顧客まですべてをつなぐ
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 2016年にスタートしたMDI2はサプライチェーンをつなげることで業務・ビジネスを改革する取り組みだ。物流から海外の各拠点、販売店、お客様まですべてがIoTでつながってくるという環境変化を見越している。「顧客や車両、生産工場、物流などさまざまなデータを集めて分析し、次のアクションを打っていくというコンセプトで進めている。今は通信も4Gが前提だが、今後5G(第5世代移動通信システム)が普及するとさらにいろいろな可能性が出てくる」(木谷氏)と期待する。

 2019年9月27日にはコネクティッドサービスをスタートした。

 「車両情報や位置・速度情報などを使ってより快適な車作りや品質改善、もっと言えば、先ほど紹介したモデルの開発に利用していく。もともと社内の限られた環境でテストしてデータを得ているため、グローバルの市場での実際の使われ方をデータとして活用しながら、モデルを進化させていくことがものづくりの領域では大きなキーファクターになる」(木谷氏)。

 ものづくり情報革新においては、工場の生産ラインや設備、物流などさまざまなデータがビッグデータ化している。

 「ここにコネクティッドカーのデータも全部吸収し、機能の品質やMBDを進化させる。開発だけでなく製造領域においてもラインの組み立て、成形などさまざまなシミュレーションを行っているため、そこにフィードバックしていく」(木谷氏)。

 新たな取り組みとして木谷氏は、右肩上がりで大規模化・複雑化するソフトウエアの品質を管理する取り組みを進めていると話した。

(撮影:安蔵靖志)
ソフトウエアの大規模化・複雑化
クルマのソフトウエア品質を保証する取り組みが重要になる
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 「サイバーセキュリティ基本法などが法制化されると、ソフトウエアのトレーサビリティが問われる。そのためソフトウエアの品質を保証する仕組みを現在構築している」(木谷氏)。

 今後の課題として木谷氏はまず「全体を描く業務設計力」を挙げた。