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機械学習を使ってPCB切断機の計画外停止を予測

 続いてメヌル氏は、シーメンスの工業用電子機器のマザー工場であるアンベルク工場を例に、同社のものづくりデジタル化の現状を紹介した。EWAは毎年約1万3000もの作業プラン変更があり、1日に120のバリエーションの製品、毎秒約1個の製品が製造されている。さらに実は中国の成都にもEWAと同じ設備の工場を展開している。

シーメンスの生産体制
シーメンスの生産体制
マザー工場であるアンベルク工場が全体の55%の生産を担っている(撮影:安蔵靖志)
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 EWAを完全自動化する過程で直面した課題の1つがPCB切断機の計画外停止だった。PCB切断機のドリルに内蔵するベアリングに削りカスが詰まると機械を停止して掃除する必要が生じる。アンベルク工場ではこの課題を、エッジコンピューティングとAIを使って実際に切断機が停止する前に異常信号を捉える手法に取り組んで解決した。

 「エッジシステムで振動やエネルギー消費、温度などを計測・分析したところ、同一ではないが一定のパターンでベアリングが壊れることが分かった。その予兆をAIによって分析・学習し、初期段階でのメンテナンスができるようになった。これは年間20万ユーロものコスト削減になった」(メヌル氏)

 メヌル氏はPCB基板の品質管理でも機械学習を使って効率化した事例を挙げた。PCB基板のはんだ付けの品質を管理するために、X線検査機による検査を行っていたが、X線での全品検査がボトルネックになっていたという。

 「はんだの量や温度、全体の管理方法などと最終的な製品の品質データと掛け合わせてAI分析したところ、ある一定のパターンが浮かびあがった。PCB基板の品質が保証できる場合と、検査が必要な場合との判断が瞬時につくようになった。品質に問題がないパターンの場合はX線検査を実施せず、ラインからすぐに出荷するようにした。これによってX線検査を約30%低減できた」(メヌル氏)

 機械からのデータをクラウド上のAIで分析することで、アンバーグは高品質の水準を担保できるようになったとメヌル氏は話す。

 「現在1日約5000万プロセスの製造工程があるが、欠陥率は10DPM(100万分の10)になっている。製造のデジタル化によってこれが可能になった」(メヌル氏)

デジタルトランスフォーメーションによって生産性向上を実現

ロックウェル・オートメーション エンタープライズアカウント&ソフトウエアセールス担当副社長のジョセフ・バルトロメオ氏
ロックウェル・オートメーション エンタープライズアカウント&ソフトウエアセールス担当副社長のジョセフ・バルトロメオ氏
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 続いて、ロックウェル・オートメーション エンタープライズアカウント&ソフトウエアセールス担当副社長のジョセフ・バルトロメオ氏はプレゼンをした。同社が「コネクテッド・エンタープライズ」と呼ぶ製造のデジタル化手法とそれによる大幅な効率化の成果を解説した。